ホラー映画好きの桐子

ダークマンのホラー映画好きの桐子のネタバレレビュー・内容・結末

ダークマン(1990年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ダークマン猛烈に切ないし、敵役のコリン・フリールズの後半のキチっぷりが最高にイカスぜコンチクショウめ!

1990年製作、監督はサム・ライミ
主演はリーアム・ニーソン

弁護士をしている恋人が入手してしまったある情報が元で、とんでもない目にあわされていく科学者の主人公(後のダークマン)
完全に巻き込まれ事故です。とんでもない巻き込まれっぷりです、あまりにも不憫すぎる…
顔は薬品で焼かれ、手はだめになり、研究室はふっとばされ、その時に全身大火傷を負う可哀想っぷり。
拾われた研究所で治療、というよりは治療実験体として視床下部を切除され、痛みを感じることのない体に。
その代償として怒りや恨みなどの感情をコントロール出来ない状態に陥ってしまう。ダークマンの雛形誕生である…。
研究所から逃亡した主人公は、自身の研究である人工皮膚の開発に再び着手し始める。
失った顔を取り戻すために…。

ああもうね、ほんと切ないししょっぱいよね。
復讐心や怒りを理性でコントロールしようとするも、外的刺激で暴走し、復讐に突き動かされていく、暴走する自分に自己嫌悪したりする。でも止められない止まらない。
完成品とは言いがたい人工皮膚を復讐のために利用し、対象を追い込んでいく。

最後にダークマンが語る、皮膚を被る度に自分が失われていく、という台詞はとても切ない。
見た目だけ元通りになっても、そんな表層の取り繕いは彼の心を逆に蝕んでいく、そして恋人の元からも去っていく。
踏んだり蹴ったりの超巻き込まれ大事故!!!

踊る怪人お代は5ドル!と言いながら猫に向かって狂気のおどけっぷりを見せるシーンが最高潮に私は切なかった。
怒りしかない復讐鬼になれてしまえば寧ろ楽なのにね…そうはなれないのよね、その狭間がつらい。

冒頭に書いたコリン・フリールズの足場ダンスは、そんなダークマンとの内面の対比を見せられたようですごく良かった。
見た目だけで言えばダークマン(怪人)コリン・フリールズ(人間)なのに、内面ではそれが逆転している、恐怖を感じて怯えを見せる怪人と、恐怖もなく怯えもない人間。
見えているものの内面が見た目通りではない居心地の悪さ。

さらっと楽しむことも出来る作品ではあるけれど、考えだすと重いなあ…結構深いなあ…。