おたしん

ロゼッタのおたしんのレビュー・感想・評価

ロゼッタ(1999年製作の映画)
3.8
年頃の少女がこんな暮らしをしているのは厳しすぎる…。
なんかあんまりリアクションできなかった。

母親を気にかけながら学校にも行かずギリギリの生活をしている。
この環境で非行に走らないことがまず素晴らしい。
少しも道を逸れることなく真剣に仕事をしようとしている。
なんて芯のある人間なのか。

どれほどこの日々を過ごしているんだろう。
長靴とマス獲りが忘れられない。
車道を横切って駆け抜ける姿も。

真面目に仕事するし雇ってあげてくれって何度も思った。
チクったみたいな感じになったけど悪いことしたわけじゃない。
彼女だって必死なんだ。

"貧しいが故の"がいくつもあって辛い。
お腹にドライヤーを当ててるのはもう見たくない。
それでも強く強く強く生きるロゼッタ。

そんな彼女にも限界はある。
全て跳ね除け屈しないロゼッタはこの先ずっと強い女性で在り続けると思ってしまった。
今日まで生き抜いてきたのに終わりが来るのは呆気なくて悔しかったけど想像を超えるほど堪えていたんだろう。

ガスボンベの重みが命の重みにように感じた。
それを持って行って果てるか持っていく前に果てるか。
ロゼッタの泣き顔が全てを物語る。
彼女の笑顔を思い出せないのが悲しい。

スクーター男がうるさい。
目障りで鬱陶しい。
でもいつも重要なときに現れる。
ロゼッタを救えるのはあなただけです。
早く手を差し伸べてあげてくれ。
一刻も早く助けてあげてくれ。
そんな苦しさを残されるラストはさすがでした。
余韻に浸らせてもらいます。

ダルデンヌ兄弟お見事でした。
ドキュメンタリーかと思うぐらい現実的で救いのないストーリー。
苦しくなるけど見たくなっちゃうよね。

そして勝手に極厚眼鏡おじさんと呼んでるオリヴィエグルメが相変わらず普通にいそうすぎて拍手。
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