フランク・クールテーは、元々ポートレートを専門とする写真家として活動していたのだが、次第に作家業に専念するようになり遂には写真家としての活動を休止してしまう。その経緯は2018年の「La dernière photo(最後の写真)」で語られている。彼は2013年の短編集「Autorisation de pratiquer la course à pied(ランニング練習許可)」でフランス文学者協会賞(SGDL)から賞をもらうも、それ以降は収入が減り続けて最終的にギグ・ワークで食いつなぐこととなる。2023年にその一連の流れを「À pied d’œuvre(仕事中)」に収めた。
本作は、正直ステファヌ・ブリゼが撮るような労働問題映画やギグエコノミーを扱った『L’histoire de Souleymane』と比べると困窮のレベルが生温いのと、結局この労働があってそこそこ成功しているため映画としては微妙なのかもしれない。ただ、ギグエコノミーにおける構造的ダンピングに巻き込まれて低賃金で心身すり減らしていく中で、彼のクリエイターとしてのイメージをフィルムのようなざらつきある映像で表現し、脳内だけにあるイメージと現実とのイメージのバランスを崩していくアプローチは興味深い。特に、黒人の労働者が店に入ってくる様に眼差しを向ける際の突然、そして無理矢理《映画》のような質感になる様が強烈で、「俺は絶対に目の前の経験を創作に活かしたる」といった魂が滾っていた。私自身、仕事中にブルシット・ジョブや理不尽な目に遭った際にはシネマティックモードで現状を捉え、いつか文章にしてやると思って困難を乗り越えているので共感した。