ちろる

星を追う子どものちろるのレビュー・感想・評価

星を追う子ども(2011年製作の映画)
2.9
相変わらず描かれる光と空と自然の画は美しいし人物も以前の作品にあった同人誌的な要素は消えているので映像は満足した。

しかし自らの大切な人を失った寂しさを埋める為のエゴと喪失感を受け入れながらもなお生き続けなければならないという生きることの苦悩という
テーマは良いと思うのだがその結論までに行くファンタジーのジブリ臭と主人公の普通さがなんだかマッチせず、なかなか物語に入り込めない。
誰に対して感情移入してよいのかも分からず心が散ってしまった。

新海さんが描く美しい空の光とと宇宙の世界を際立たせるためには切なくてどこかはかなげな世界観と詩的な世界観が好きだったのでその新海作品を観ようと思っってこの作品に臨んだならばどうしたの?新海さん!って思うかもしれません。
彼の持つ良さが消えてしまったので私的にはとても残念。

アニメーターならジブリの世界に影響を受けない訳は無い訳で、ファンタジーアニメを作り出す上で感化された世界観が出てしまうのは仕方が無いことだ。
でも異世界のストーリーをやるにあたってジブリのあの圧倒的な映像のの情報量を超えない限りジブリよりも劣化してしまうのはアニメーターの悲劇である。
ここまで似すぎているのは逆に新海さん的な皮肉なのか冗談なのか?

クリーチャーがあまりにもジブリオマージュっぽかったので、現代の地上人がジブリの世界に迷い込んだという設定で観ることをお勧めします。
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