ラスト10分、画面の向こう側に連れていかれた。
戦争という不条理な出来事に、映画監督として何ができるか。何が伝えられるか。
その悲痛な魂の叫びは時を超えてしっかりと胸に響いた。
もはや目を覆い、耳を塞ぎたくなるような生の眼と声がこれでもかと訴えかけてくる。
それをただ見ることしかできない。
でも見ることに意義があるのだと思わせられる迫力があった。
最後の最後まではコメディの雰囲気で話が運ばれる。ウィットに富んだ遊びの数々が重い設定の中でもクスクスと笑わせてくれる。
それがこの映画の素晴らしいところだ。
映画はあくまで人を楽しませるもの。
そう誰よりも分かっている彼だからこそ、最後のシーンが大きな意味を持つ。
あの彼の目を忘れることはないだろう。