その冬、私は分身と過ごした。 りりかは美大で写真を専攻しているが最近は撮りたい被写体が見つからない。授業では昔に撮った同居人エナの写真を提出した。エナは心の調子を崩してここしばらくは部屋に引き篭っている。2人の過ごす時間はバラバラで、かつての親密さを失いつつあった。ある日、りりかは街を歩くエナの“分身”と出会う。家に帰るとここにもエナがいる。謎に誘われ、2人は夜の街に繰り出した。 分身をめぐる冒険は新たな出会いと別れを生み、気がつけば愛が対立する世界に来ている。遠ざかった人たちの写真やメッセージに囲まれながら、りりかは見失った愛をまた探しに行く。