KAJI77

乱のKAJI77のレビュー・感想・評価

(1985年製作の映画)
4.9
4Kデジタル・リマスターも敢行された、往年の黒澤明の城砦スペクタクル作品、『乱』(1985)を鑑賞しました…!🏯🇯🇵✨

※ここ最近高スコアを濫発してますが、ただ単に僕が甘いのではなく、どれも作品が素晴らしいのです。
だから僕は決して悪くないはずです。
そうだ、そうに違いない…😌 (自己暗示)

【あらすじ】
世は乱世、戦国時代。
名将「一文字秀虎」には3人の子がいた。齢70になり一線から身を引こうと、秀虎は息子らに家督譲渡を提案するが、あまりにも独断的で急な提案に彼らとの間に少しばかりの確執が生まれてしまう。
その溝は次第に深まり、遂にその軋轢は血で血で洗う骨肉の争いへと発展してゆき…。

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「人は泣きながら生まれる。この阿呆どもの舞台に引き出されたのが悲しくてな。」

『リア王』-ウィリアム・シェークスピア


★「乱」というタイトルで魅せる「平」の本懐

黒澤作品最高傑作とも言われる今作、その評判に決して引けを取らない圧倒的な大作でした…!
モチーフとなっているのは、シェークスピアの悲劇『リア王』。
「仲代達矢」扮する秀虎は、まさしく本物の"王"そのものでした…。
この人を差し置いて他に一体誰がこの役を演じきれましょう…?
『用心棒』とも『切腹』とも打って変わった、彼の役への入り込みようは"神妙"という他にありません!😍😍


「狂った今の世で、気が狂うなら気は確かだ。」


「平」を破壊する「乱」と、「乱」を醸成する「平」。
人間の化けの皮を一枚ずつ剥いでゆく重厚な台詞回しが、尖鋭な火矢の如く胸を貫き、身体中の酸素をバチバチと焼き尽くします…。

「常」と「狂」、「平」と「乱」、「男」と「女」、「動」と「静」の、文学的でダイナミックなコントラストに、☆5.0です…!!✨🎥
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