GT

スターリングラードのGTのネタバレレビュー・内容・結末

スターリングラード(1993年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

「独ソ戦」中の「スターリングラードの戦い」が題材の映画。
直接的な兵器による死亡だけでなく、餓死や凍死が凄まじく、百万人以上が死亡したという熾烈な戦争をテーマにしてるだけあって、その描写は容赦がない。序盤の銃撃戦の時点で熾烈を極める。工場の奪取、地下水道からの脱出と理不尽な懲罰。引き込まれる。だがこの辺はまだ序の口だ。
「冬将軍」。吹雪が吹く中の、戦車を相手にした戦い。本当に寒そうだし、そんな中で決死の戦いを挑まなきゃいけない過酷さ。
戦況は厳しさを増し、寒さや飢えはどんどんと酷くなる。大尉がブーツを脱いだ瞬間、凍傷で腐った足がどろんって感じで出てくるシーンは口を押さえざるを得ない。上層部の腐敗は戦争モノの基本だ。今まで散々威張り散らしてた将軍をスカッとぶち殺して、辿り着いたのは食料が大量に保管された倉庫。自分たちはたっぷり食ってたらしい。登場人物たちは一人また一人と殺されたり自殺したりしていき、主人公である中尉も最後には伍長のライザーと共に雪原のど真ん中で息絶える。誰も救われない、とにかく虚しいエンディングだ。
ドイツを悪人にしたり、ロシアを悪人にしたりということは一切なく、只管戦争の悲惨さを伝えることに振り切った作品。こういう事が世界中で起きているということを考えると、月並みな言い方だがなんともやるせ無い気分にさせられる。
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