かつて極道の世界に身を置いていた男・久能慶蔵は、過去を捨て、静かに小樽の片隅で働きながら暮らしていた。彼は毎年、極道時代の舎弟・光村の娘・文香に叔父という名目でクリスマスプレゼントを用意していた。文香は平穏な日々を送る高校生だが、記憶障害を患っている。来春、高校を卒業する文香は、母の兄だという叔父に会い、どうしても聞きたいことがあった。それは薄っすらとしか記憶のない母の所在。届いたプレゼントから叔父の住む街・小樽へ向かった文香は、叔父こと久野のもとにたどり着く。驚きつつも嬉しさを隠せない久野。訳あって名乗ることはできないが、文香は、実の娘だった。だが、二人を巡り、久野が背負う因縁から裏社会の抗争が激化していく。父とは名乗れない久野だったが、娘の未来を守るために立ち向かっていく――。
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