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クルージングのペインのレビュー・感想・評価

クルージング(1980年製作の映画)
4.5
クエンティン・タランティーノや『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマや等もフェイバリットに挙げる、"何故ラジー賞候補?"な早すぎた発掘良品的傑作。

監督はウィリアム・フリードキン、主演アル・パチーノ。ハード・ゲイのたむろするニューヨークのとあるストリートで多発しているゲイの連続殺人事件の実態を探るべく、アル・パチーノ演じる三十路手前の刑事がゲイに扮して潜入捜査を試みる。

まずフリードキン監督十八番な70年代後半から80年代にかけての荒廃したニューヨークの街並み描写(※『ウォリアーズ』とかにも通ずる)にうっとり。また"ハード・ゲイ"の世界を描くとあって、熱気ムンムンで生々しく不穏な力強い画の迫力にも圧倒される。

潜入捜査モノとして、同じくアル・パチーノが主演した傑作『セルピコ』(※監督シドニー・ルメット)へのフリードキン監督からのカウンター的作品にも思えなくもない本作←

正直、『エクソシスト』『フレンチ・コネクション』といった他のフリードキンの"名作群"と比べると珍作感もあり、映画としてユルいと感じられる部分はあるにせよ、それすらも良い味に感じられる程に本作の輝きは眩く唯一無二。

冒頭の船のショットとエンディングが遂になっているのもまた良いが、タイトルの"クルージング"は「警察👮‍♂️の巡回🚓」や「ゲイの男漁り」の意味。また、ゾッとする後味のあのラストもまさしく『CURE キュア』に先駆けているよう。必見。

P.S.
アル・パチーノも良いが、刑事部長役のポール・ソルヴィノも無茶苦茶良い。また、パチーノの妻がカレン・アレンというのもキャスティングの妙。そしてあの謎の黒人ビンタ男!笑
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