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Blue Heron/ブルーヘロン

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Blue Heron/ブルーヘロンの作品紹介

Blue Heron/ブルーヘロンのあらすじ

1990年代後半の夏、8歳の少女サーシャはハンガリー系移民の家族とともにカナダ・バンクーバー島に移り住む。豊かな自然に囲まれた土地で、サーシャは兄たちや新しい友人たちと過ごしながら、少しずつ居場所を見つけていく。しかし、一番上の兄ジェレミーは「問題行動」を繰り返し、家族は限界を迎えつつある。両親はジェレミーの問題を専門家たちに相談する中、困難な選択を迫られていた。20年後、映画監督となったサーシャは、カメラを手に家族の過去をたどり始める……。

Blue Heron/ブルーヘロンの監督

ソフィー・ロムヴァリ

原題
Blue Heron
製作年
2025年
製作国・地域
カナダ、ハンガリー
上映時間
91分
ジャンル
ドラマ
配給会社
プンクテ

『Blue Heron/ブルーヘロン』に投稿された感想・評価

背骨
3.8
なにを考えているのか全くわからず、問題行動を繰り返す長男。苦悩する両親、戸惑う弟たち… その時は何もわからなかった末っ子の妹の目線から描く「記憶と想像と家族のドラマ」

知性と才能を感じさせる長編デビュー作。映画監督となった妹が、記録の装置であるカメラを使って、記憶を元に映画として再構築していく後半のパートはあまりに映画的

「決してわかり合えない他者」を少しでも理解したいという願いと、「映画は時間も次元も飛び越える」という確信がもたらすリアルかつファンタジックな作品。ずっと余韻に浸っていたくなる…
[カナダ、異父兄のこと、両親のこと、私のこと] 90点

大傑作。ソフィー・ロムヴァリ(Sophy Romvari)長編一作目。カナダ生まれのハンガリー移民二世の監督は、2016年に発表した短編『Nine Behind』から一貫して自身の分裂したアイデンティティを探し求める作品を作り続けてきた。ハンガリーにいる祖父母との物語(『Grandma's House』『Remembrance of Józself Romvári』)、亡くなった二人の兄の物語(『Still Processing』)などを、ドキュメンタリーとフィクションを混ぜながら描くことで、虚構が現実に血肉を与えるように、分裂したアイデンティティを縫い合わせてきた。本作品は初の劇映画であり、その集大成ともいえる作品となっている(らしい)。物語は大きく二部構成になっている。1990年代後半、バンクーバーに引っ越してきた一家には四人の子供がいた。8歳の主人公サシャと年齢の近い二人の兄弟、そして年の離れた異父兄ジェレミーだ。ジェレミーは問題児であり、突飛な行動をして両親を困らせていた。映画の前半部分ではサシャの目線で見た90年代後半の家族の記憶を再演していく。幼いサシャは不安定な兄から距離を取っていて、常に彼のケアに追われる両親からの愛を渇望しているように見える。すると中盤で大人になったサシャが登場する。彼女は冒頭でこう言っていた。"幼少期の記憶をほとんど思い出せない、記憶は断片的にあるが信頼には足らない、人生の大半は彼に怒りを向けていたが、年を重ねるごとに彼を全く知らなかったように感じる"と(この怒りは自分自身を制御できないことではなく両親の目線を奪ったことへの怒りだろうか)。ジェレミーとは何者だったのか。何を考え、どうしていたら彼に寄り添えたのか。現役のソーシャルワーカーと話しても、かつて両親を支えた女性と話しても、正解は出てこない。監督がサシャを通して選んだのは、それでも、いや、だからこそ会いに行くということだ。私ならこうした!という"正解"の提示ではなく、むしろ"正解"は分からないが手を差し出すための訪問である。二人と言いつつ、もう一人の兄の話ばかりしていた『Still Processing』を踏まえて考えると、整理の付かない感情を整理するという意味で大きな一歩と言えるだろう。

撮影も、特に後半のパートは素晴らしい。合わせ鏡や反射を用いた分裂のイメージが多用され、時間を遡って両親に会いに行くという手法と繋げつつ、サシャの中で未だに整理の付かない感情や答えのない疑問とも共鳴している。或いは、本当に過去を改変して、どうにか"良い"未来を手繰り寄せようとしているのかもしれない。両親とのセッションをする際は、ちょうど両親の間にソファとカーテンの切れ目がくることで、"合成じゃないのに合成に見える芸人三組の写真"のように二人の間に見えない裂け目が視覚化されてくるかのようだった。

映画では写真やジェレミーの描いた地図などが印象的なモチーフとして登場していた。サシャの調査はソフィア・ボーダノヴィッチによる"アーカイブ探偵"ことオードリー・ベナックの手法にも似ていたし、死者と生者の交錯という意味ではグラハム・フォイにも似ていた。オードリーのユニバースが終焉を迎えた翌年に、この映画に出会えたのは奇跡に違いない。間違いなくカナダ新生代を継ぐ世代の一人だ!
ナタリー試写会。
精神的な疾患を抱えている異父兄。問題こうどを起こす兄を幼少期受け入れられなかった妹サーシャの視点で描くドラマ。
大人になったサーシャと幼少期の時間軸が思い出が重なるように行き来するような構成。

「アフターサン」を彷彿とさせる感じで、”家族でもわからなかったこと”を中心に、ジェレミーの姿を時にミステリアスなタッチで追い、余韻を残していく。
監督自身の私的な経験がベースになっているだろう物語は、フィクションであるが、ドキュメンタリーの質感も持ち合わせていた。
絵がうまかったジェレミーと呼応するように、ダニエル・ジョンストンの曲が効いている。


以下、ネタバレ。





映画では真実はしっかりと語られない。
監督が本当に何を思ったのか、どのような経験を通しての感情か気になる。

自分の父親が死んで17年が経とうとしている。今も最後に綴られたブログがネットには残されている。久しぶりに見た。
父は当時、何を考えていたのか、今は知る術もない。解放されたかもしれないし、無数の後悔を抱えていたかもしれない。そこには母の感情もある。

このような作品を見ると自身の経験といつも向き合う。簡単に言葉にできない。映画を作る手法がどうとか置いておいて。

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