会津戦争の最年少部隊である白虎隊(正確に言うと幼少組)を描いた作品。
■ 概要
尾形十三雄の脚本を、「金獅子紋ゆくところ 魔境の秘密」のコンビ伊賀山正光が監督、杉田正二が撮影した浪曲映画。
■ あらすじ
『破竹の勢いを誇る官軍を迎え討つ会津藩は、落城の運命を明日に控え、藩内には女、子供しか残っていなかった。
会津藩には十五歳以下と六十歳以上の者は出陣できぬ掟があったが、ついに老人組も出陣した。』
■ 感想
白虎隊をメインに据えた作品は数多く存在するが、その中でも幼少組がメインとなっている作品は、本作くらいだろう。
キャラクターの心情を視聴者に上手く伝わるようになっており、明治初期ならではのキャラクターの心情を違和感なく自然に表現出来ている。
また、12歳の息子に自害の仕方を丁寧に教えたりなど、母の覚悟なども視聴者にダイレクトに伝わるようにも描写されている。
これ以外にも褒められる点は多々存在するのだが、どうしても短所の方が目立ってしまう。
まず、本作は会津戦争末期を描いているはずのに、全く戦争をしているように見えない事が挙げられる。
会津戦争末期の白虎隊を映像化するのであれば、最低でも
・少年を戦地に送り出す藩や家族の苦悩
・非日常感
・仲間たちの絆
・人々が戦争に依って疲弊し、何かしらの変化をする姿
・飯盛山での自害
を描かなくてはならない。
少年を戦地に送り出す藩や家族の苦悩や覚悟に関しては、しっかりと時代に沿った形でリアルに描かれているのだが、問題は他の4点である。
それら4点を本作は全然描けていない。
◎ 非日常感
当たり前の話だが、戦争真っ只中である。
にも関わらず、本作では会津戦争をしているといった説得力が全くない。
いつ敵が攻めてくるか分からない緊迫した状況なのに、周りの村の住人はのほほんとして農作業をしている。
幼少組が出陣する際も、本来なら複雑な眼差しで見つめ応援しそうなものだが、本作の場合、まるで部活動の少年を見ているような軽い眼差しだ。
緊張感の欠片もない。
新政府軍との遭遇もRPGでエンカウントしたかのように突然だし、戦闘も大砲をぶっ放すだけなので、緊張感が全く伝わってこない。
ついでに、新政府軍がただの山賊にしか見えないのは私だけだろうか・・・。
◎仲間たちとの絆
本作では、訓練シーンなどで指揮官や少年たちの絆を一切描いていない。
なので、幼少組の人が死んでも特に何かしら感情が揺れ動くといった事はない。
ついでに、敵である新政府軍の隊長・松下五郎が
松下五郎「優秀な指揮官と部下だった」
と褒めているが、訓練シーンなどで指揮官や少年たちの絆を一切描いていないので、そのセリフに全く説得力がない。
一応、敵もかなりの名将という設定になっているが、本作を観る限りでは、最年少部隊に苦戦する程度の無能にしか思えないのだが・・・。
やはり、訓練シーンは入れるべきである。
◎人々が戦争に依って疲弊し、何かしらの変化をする姿
会津戦争も終盤であり、人々はただならぬ緊迫感と恐怖心で、疲労困憊のはずだ。
中でも城下町の人々は、いつ新政府軍が攻めてくるか気が気でないだろう。
しかし、何故か本作では、本来疲労困憊のはずの城下町の人々が、全員揃いもそろってピンピンしている。
なんでやねん!
せめて、女性が武士の為に城に籠って、おにぎりなどを作る姿くらい描写しろよ!!!
◎ 飯盛山での自害
なんで自害じゃなくて、敵に突撃して死ぬんだよ!!
そこは自害だろうが!!!
しかも、出陣前に親から自害のやり方を教わっといて・・・。
あれ何のためのシーンだったんだよ!!!
とまあ、描くとこさえ描いていれば、かなりの良作になったと思うのだが・・・。
もったいない・・・。
因みに、本作は戊辰戦争や時代背景を理解しているのを前提としているので、それらが分からないと全く話についていけないと思う。
個人的に、会津戦争を映像で理解したいのであれば、「年末時代劇スペシャル 白虎隊」を鑑賞するのがおススメである。
これを鑑賞すれば幕末の大体の流れも理解する事が出来る。