いさましいちびのこなやぎ

グエムル -漢江の怪物-のいさましいちびのこなやぎのレビュー・感想・評価

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)
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社会の底辺層で暮らす主人公一家が突然眼前に現れた非日常に翻弄される、という意味では『パラサイト』の原点みたいなところはあるかもしれない。恐らくナルコレプシー持ちでろくに仕事ができない長男、民主化運動世代のロスジェネ次男、アーチェリーの腕はいいのに「のろま」呼ばわりされる末っ子長女という3兄弟の奮闘はシリアスなのにつねに滑稽さを同居させておくところがポン・ジュノって感じ。
長男がデモ隊から勝手に祭り上げられ、シンボルとしてTシャツに顔をプリントされてるところとか、最後まで「他人の手を引いて」しまう愚かしい優しさとか、そういうものへのブラックユーモアがふんだんで私は好きな映画でした。家族全員の食卓シーンで、本当はその場にはいない娘とご飯を分け合う場面が好き。