デニロ

明日は月給日のデニロのレビュー・感想・評価

明日は月給日(1952年製作の映画)
3.5
昭和27年。東京銀座周辺は都会に復旧している。といってもわたしの生れる前のことで、戦後7年も経つとこんなふうになるのだろうか。わたしの生れた頃の写真を見ると、土だらけで背景には何もないけれど。

結婚後、給料を嫁に渡すか渡さぬかで夫婦喧嘩になる場面があるが、わたしは渡してしまって実に一生の不覚だったと後悔をしたものです。大分経ってから後輩が自分でコントロールしている、という話を聞いてかくあるべしと思った。今どきの夫婦は財布を別々にしているのだろうが、もしそのような状況に至ったならば、多少の不便を感じても自分の稼ぎは自分で管理するべきであると思う。人間には、自己決定権というものがあり、結婚するやその自己決定権も怪しくなるのだが、財布を渡すや否やそれはなくなります。

労働して食べる。娘が研修で得た賃金を、尊いことなのよと、教え諭す母親の言葉がこころに沁みる。いつの時代からか労働から遠ざかる人々が増えているように思う。自分が働かなくても食べていけるからなのか、ただ働きたくないからなのか。社会保障でパチンコして自己決定権を行使しているつもりなのだろうか。こどもに対する手当があるにもかかわらず給食費の未納があるってどういうことだろう。厚生労働省の若い役人は知っている。それが何に使われてしまっているのか。悲しい法律だ。一緒に働いているベトナム人が言う。日本人が働かないから、わたしたちが来るんです。

幾野道子の眼が艶っぽい。

1952年製作公開。原作宮崎博史 、北町一郎、鹿島孝二 。脚本柳沢類寿 。監督川島雄三。
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