福福吉吉

プラトーンの福福吉吉のレビュー・感想・評価

プラトーン(1986年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
1967年、クリス・テイラーは大学を中退して志願兵としてベトナム戦争に従軍する。最前線の部隊に配属されたクリスは戦地での過酷な実情に打ちのめされながら、部隊を二分する派閥争いに巻き込まれていく。

◆感想◆
数十年前に観た以来の再鑑賞となります。

正義感の強い青年がベトナム戦争の最前線で過酷な任務を遂行しながら、敵だけでなく味方とも戦うハメになってしまう姿を描いており、戦いの中でバーンズ曹長の派閥とエリアス軍曹の派閥の争いを主軸にストーリーが進んでいき、その結末への興味が最後まで途切れないようになっていました。

主人公のクリス・テイラー(チャーリー・シーン)は正義を振りかざす青臭い人物でまだまだ子供っぽさが残っていました。クリスは最前線で戦い続けるうちにその環境に慣れ、自身の意思を強く示すようになっていき、彼の成長していく姿は本作の見どころだと思います。

クリスが配属された部隊ではバーンズ曹長(トム・ベレンジャー)とエリアス軍曹(ウィレム・デフォー)が意見が合わず衝突しており、クリスはバーンズの派閥の兵士たちがベトナムの無抵抗な民間人を殺害し、少女をレイプする姿に逆上し、エリアスの派閥につくようになります。いかにもエリアス側が善のように描かれていましたが、エリアス側では麻薬で現実逃避する一面もあり、バーンズ側に無法者の集まりではあったものの、どちらの側もまともではなかったと思います。

本作では北ベトナム軍との戦争シーンが生々しく描かれており、アメリカ兵が次々と死傷していきます。そこには戦争というものの非情さや理不尽さが現れており、敵味方問わず多数の命が失われていく様子は地獄のようでした。

ベトナム戦争に参加したアメリカ兵の多くは自分が除隊する日を夢見て過ごすというなんとも皮肉的なものになっており、誰がこのベトナム戦争を望んだのか疑わしくなりました。戦地では誰一人戦場にいたい者などおらず、戦争というものの無意味さを痛感する作品でした。

鑑賞日:2024年8月18日
鑑賞方法:CS ザ・シネマ
(録画日:2023年12月21日)
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