terusuk

プラトーンのterusukのネタバレレビュー・内容・結末

プラトーン(1986年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます


ベトナムを描いた絶望的なまでに暗い映画だ。
救いは僅かにラストシーンくらいか。
壮絶な戦闘シーン、残酷な殺戮、畜生にも劣るレイプ、小隊内部の不和。
ストーン監督はこれでもかとばかりに負の感情をぶつけてくる。
しかしながら、アメリカは、この後も、湾岸戦争、アフガン、イラクと侵略を続ける。
歴史に学ぶことが出来ない国だ。
いくらストーンが反戦を叫んでも届かないのだろうか。

その事実を考えると暗澹たる気分に一層拍車がかかる。

ストーリーはバーンズとエリアスの対立を軸に描かれる。
不死身のバーンズ。
何度被弾しても死なない。
エリアスはジャンキー達の親玉だ。
正義や倫理の感覚が濃厚で戦争には一見反対であるかのようだ。

そんな2人に感化されながらも逞しくなっていく新兵のクリス。
徐々にだが、エリアスの思想に影響を受けていく中で、エリアスは見殺しにされ戦死する。
そこに流れるアダージョがあまりにも美しい。


こんな事件を中心に、ベトナムの悪夢をストーンは感覚的に描いた。
ストーンはこの作品を機にベトナムを批判するメッセージを明確にした。
これだけはっきりと批判的な立場でベトナムを描いた作品はあっただろうか。
思想的に反対を表明することはあってもベトナムを作品化して、それで賞まで受賞できるレベルの仕事をしたのは彼が初だろう。
彼の作品を最近見かけないが、是非また社会派の作品を期待したい。
どんなに彼が社会派の作品を作っても、アメリカは変わらない。
彼は、そんな悲しいドンキホーテであってほしい。
terusuk

terusuk