shunsukeh

川の底からこんにちはのshunsukehのネタバレレビュー・内容・結末

川の底からこんにちは(2009年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

佐和子は他者や社会に対してぎこちなく生きている。自分を低く評価することで落ち着いていられるようでもあるが、その評価が的を射ていないので、いろいろなスタンスがおかしい。付き合っている健一の娘加世子はは5才くらいなのに赤ちゃん言葉で接してしまうのがそのいい例だ。また、自分を過小評価しているためそれまでに選んだ男はクズばかりだったようで、しかも、男から捨てられるとう嵌めに合っている。自分にはこれくらいの男がお似合いなのだという想いが、自分から別れを切り出させないのだろう。そして、もちろん、健一も最低な男だ。
しかし、佐和子の開き直りの切っ掛けを作ったのはその健一で、彼のクズさ加減が極まったのがそれだった。佐和子は健一が置き去りにした加世子の人生を引き受けることにした。そのためには、自分がどんな人間であるにせよ、そんなことに関係無く、生きていくことに全力を尽くすしかない。佐和子は、自分から全てをさらけ出して、評価から解き放たれ、生きることに集中することにした。
佐和子は、死に際の父に「頑張って」と言って泣いた。自分は加世子を引き受けることにした。会社も支えることにした。そんな自分は父に支えて欲しかった。でも、これまで頑張ってきた父は、もう死の時を迎えようとしている。佐和子は「私、頑張る」と言い直す。
佐和子たちの力を尽くす人生が始まる。
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