こなつ

マグノリアの花たち/スティール・マグノリアのこなつのレビュー・感想・評価

3.8
アメリカ南部ルイジアナ州の小さな町に住む6人の女性たちの心の交流と友情を描いた群像劇。

まだ無名だったジュリア・ロバーツの出世作と言われている。彼女はこの作品の翌年「プリティ・ウーマン」で一躍名が知れ渡る。

ハリウッドを代表する6人の女優の共演は、とにかく豪華。原題の「スティール マグノリア」とは、アメリカ南部の女性の気質を表す言葉で、外見はマグノリア(木蓮)のように愛らしく可憐だが、芯は鉄のように頑丈で逞しいという意味。

チンカピンという架空の小さな町が舞台。町はイースターの準備とマリン(サリー・フィールド)の娘シェルビー(ジュリア・ロバーツ)の結婚パーティーの準備で大騒ぎになっていた。町の社交場であるトルーヴィ(ドリー・バートン)の美容院でも女性たちがお喋りに花を咲かせている。初っ端からドタバタシーンのオンパレードで、ずっとこんな調子かと思っていたら、女同士の友情を通して、母娘の愛、新たな生命の誕生と辛い別れを綴った感動作に仕上がっている。

突然町にやってきた訳あり女性のアネル(ダリル・アンナ)、元町長夫人のクレリー(オリンピア・デュカキス)、いつも機嫌が悪い癇癪持ちのウィザー(シャーリー・マクレーン)、一癖も二癖もありそうな女性たちだが、年齢や生活スタイルの違いを超えた友情が心を温かくする。保守的な町の平凡な日々の中で、1つだけ大きな問題は、重度の糖尿病であるシェルビーが医者から止められているにも関わらず、妊娠し出産をした事だった。

「短い時間でも充実した人生を過ごしたい」と願う娘を心配しながらも支えるしっかり者の母親をサリー・フィールドが好演。辛いことがあっても毎日は平凡に続いて行くという雰囲気で終わるラストも心地良かった。男どもがヘラヘラしていて何とも頼りないのが笑えるが、これは頑強でしっかり者の女性たちの話だから致し方ない。

ノスタルジックな音楽、アメリカの伝統的な行事や結婚式の様子もまた楽しめる作品になっていた。
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