【あらすじ】
マフィアの世界を克明に描きベストセラーとなったマリオ・プーゾの同名小説をフランシス・コッポラが映画化した一大叙事詩。
シシリーからアメリカに移住し、一代で財を成したドン・コルレオーネ。
三男のマイケルはひとり堅気な人生を送ろうとしていたが、敵対するファミリーにドンが襲われ重傷を負った時、彼は報復を決意する。
そしてニューヨークは抗争の場と化していった……。
【感想】
世間での評価は高いし名作を挙げる時によく目にするこの作品だが、個人的な意見を述べると、はっきり言って面白くない。
何が良いのかその良さがわからない。
観る者に考えさせる様なはっきりとしない表現が多いと思う。
それと時間が長過ぎ。
これは面白くないと感じながら観ているからそう感じるのかもしれないが、観ていて集中力が保たない。
本当にみんなコレみて面白いと思ってるんでしょうか。
テーマが苦手な分野だったので今まで敬遠してたのですが、やはり凄く有名な映画だし、1回ぐらいトライしようと思って鑑賞したのですが、やっぱり面白くない。
だってただ単にマフィアの抗争を描いた"だけ"の映画ですよ。
ストーリーには展開も何もありゃしないし、ひたすら淡々と時間が流れていきます。
これがまた時間も長いし。
終始、重厚な雰囲気が出ていて名作っぽい感じは出てますが、みんなそれで勘違いしてるのかな?もしくはこの映画ができた頃の昔の価値観や思考でみると違うのか??
とにかく現代で評価されるような映画ではないと思いました。
丁寧に作った作品であることは認めます。
ただ、このゴッドファーザーって映画を高評価することが映画通の王道みたいな、この映画を知ってる人間は映画を知ってるみたいな、そんな空気を感じる。
映画ファンはこの映画を高評価することが一種のステイタスになっているんじゃなかろうか。
マフィア映画の先駆けとなった作品であるからそこを評価されてるのか...。
いまいち抗争の重さ・緊張も伝わらない。
マイケルが若者からボスへと成長していく感じもいまいち。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以下、本作が受けたんだろうなと思う理由。
1)ゴードン・ウィリス撮影による“陰影が演技する”豊かな映像、完璧な構図によるアーティステイックな完成度。
あらゆるシーンを止め絵にすれば、そのままあたかもレンブラントの絵画を思わせる秀逸な「画ヅラ」の美しさは、以降のファッション雑誌などの写真撮影技術にも多くの示唆をもたらしたであろう事。
2)マフィア、ギャングという人間の屑を描写しながらも、クズ同士の抗争、またその存在自体によって、現実には存在しうる「庶民の犠牲者」を描写しない。
その上、こともあろうにギャングに「家族愛」の崇高性を投影して美化、その象徴として祭り上げるファンタジーとしての作劇上の欺瞞によって、ある種の英雄譚に換骨奪胎している構造の巧みさ。
(“家族愛”の描写は、激賞する人の言うほど、本編では言及し切れていません。シシリアンマフィアのアメリカ暮らしによる文化的軋轢や苦闘などは、本作に興味を持って自から掘り下げようと情報を集めて初めて分かる)
3)顔面弾着エフェクト、馬の生首、等の即物的かつリアリスティックな暴力描写を、タイトな演出の中に必要最小限の描写で放り込むショック効果によるハッタリで観客を脅し、インパクトを高める演出の上手さ。
4)3時間に近い長尺ながら、物語やシーンの構成にほとんど無駄がなく、展開こそ冗長だが、プロットが脇道に逸れることはない、脚本の語り口の巧みさ。
5)シンプルに言えば、ギャング同士の俗な抗争劇、それ以上でもそれ以下でもない物語を、まるで高尚なオペラでもあるかのごとき、娯楽映画としてのパッケージングに成功した(一般にオペラ自体が俗な物語は多い)。それにより観客を主人公側に感情移入させる作りで、「暴力を自分の行動規範にする人間の価値観を娯楽として楽しみ、それを観た自分も何か大きく、社会の深みを知った世慣れた大人」風になれたと思う、いわばストックホルム症候群的な迎合的共感性に基づく観客心理を効果的に刺激することに成功した。
以上の「構造的な解析」以外の要素も深みも、かなり欠落しているいち娯楽映画では…?
なにしろ、書籍やネットでも「映画史上最高傑作」と持ち上げられ方凄まじく…。
評論家、素人レビュアー、映画史に輝く名監督からも絶賛を惜しまれない傑作として名高いながら、これまで「ヤクザ映画じゃなあ…」と食指を動かされなかった話題作なので、心して鑑賞した結果が、まあ正直、「言われるほど面白くはない」本質的には「嫌い」としか言いようのない代物だったので、思わず分析してしまいました。
まあ、おそらくは、本作以前に、ギャング映画を、これだけの緻密な演出メソッドを駆使して、映像的完成度を高く製作された映画は、多分無かったということなのでしょう。ある意味、これ以降のギャング映画のマイルストーンとなった事は間違いないでしょうし。
まあ、一般的に「悪」に対するある種の憧れと、漠然としたコンプレックスを抱く大衆の感情を上手く刺激した巧みな娯楽映画ではあるのでしょう。
しかし、これまでに自分が感動した、他の数々の名作を差し置いて、こんな社会の偏った一面を矮小に切り取った世界観の物語が「映画史上最高傑作」などと不当に祭り上げられている現状に疑義を呈する意味で、他の多くの見識豊かなレビュアーの皆様方の見識に自分は及んでいない、という視点からあえて評価を低めにしました。
まあ、1回で充分かな。
この映画よりも、この映画を「史上最高の映画」と言い切る人の、個人的映画ベスト10(その中の「ゴッドファーザー」の配置の意味)に興味がある。
ストーリー 2
演出 2
音楽 3
印象 3
独創性 3
関心度 2
総合 2.5
11/2025