このレビューはネタバレを含みます
良かった！
ボクシングの話ということは聞いていたので、ボクシングの練習や試合を繰り返して強くなるスポーツ少年漫画みたいなのを予想していたけど全然違った！
ロッキーという一人の人生について、じっくり描いていく話だった。
冒頭においてロッキーについて軽い説明が入る。
ボクサーだけどあんまり上手く行ってなくて、勝ってもギャラが40ドルとかで金が足りず、借金取りの仕事をするけど非情になりきれずに高利貸しに怒られる…というキャラ付け、この中途半端さが悲しくて良かった。
亀を飼ってたり好きな子を毎日口説きにいってるのも愛嬌ポイントも高い。
好きな描写は2つあり、一つは鏡に貼っている過去の自分の肖像画と鏡に映る自分を顔を比べて、肖像画を剥がすところ。現在の自分に納得がいっていない、ということが端的に表されて美しかった。
二つ目は、チンピラとつるむグレた女の子を説教して連れて帰るシーン。ここにも、借金取りをしている自分の現状への反抗心とか、単純な優しさが見えて良かった。女の子に暴言を吐かれて終わるのも良い。
冒頭のこの停滞、うだつの上がらない毎日の表現は本当に好きだった。結構永遠に観ていられるなと思った。
割とそこそこ寡黙な男なのに、ヒロインの前では自分語りしちゃうのが可愛かったし、脚本的にもうまいなーと思った。
ヒロインが眼鏡外すと可愛いのって実写再現できるんだなーと思った。
三幕構成の第二幕〜あたりは、正直ちょっとわからない部分も多かった。
ただ、ロッキーがチャンピオンとの勝負について持ち掛けられるシーンで、お金の話をされても反応しなかったけど、「大きなチャンス」と言われてから話を受けることを決意するところが良かった。TVインタビューで彼女の名前を呼ぶシーンを見て、自分の活躍(選択)を観てほしい相手は一人に絞られているんだなと思った。
おじいちゃんマネージャーが掌返ししてくるシーンも良かった。おじいちゃんの、掌返し感と、過去への執着を捨てられない感と、ロッキーを応援している感、どれも同時にあってなんか悲しかった。
おじいちゃんに怒り散らしたあとに仲直りするシーン大好き。なんか泣いちゃったし。
おじいちゃんはロッキーを本気でボクサーとして仕上げるために色々なことをしてくれる。女は脚を悪くする、って言われても普通に彼女とイチャイチャしてるロッキー、ウケる。いいのか？
ブタお兄ちゃんの事がよくわからなかった。彼が癇癪を起こすポイントは、私の解釈だと、一緒に泥沼みたいな生活をしていたのに友達だけが大きなチャンスを手に入れて、妬みや疎外感を感じているのではないかと思う。よくわかってないけど…。
最終的には衣装に広告を入れてもらうことで仲直りしてたけど、その辺りも文脈がちょっとよくわかりません。
生肉で血だらけになるロッキーかっこよかった。
終盤のトレーニングシーン好きだった！
ロッキーがんばれ！勝て！と思った。
スタジアムに言って、自分のちっぽけさとか、自分が軽く見られている事実(期待されていない事実？)に対して落ち込むとこが良かったな。
最後まで立ち続けることを目標にすることを、彼女に打ち明けるシーンが、この映画の象徴的な部分だなと思った。「その瞬間ゴロツキじゃない男になる」これがずっと根底にある話だったので、ロッキーの口から聞けて嬉しかった。
ボクシングシーンはずっとかっこよかった！
アポロがアメリカ衣装を着るシーンは何か政治的な主張があるのかなーと思ったりした。
ボクシング、突然決定的なシーンが訪れるのがスポーツ！て感じだった！ボクシングは全然観たことないので、映像や試合の良し悪しはわからなかったけど、ロッキーの瞼を切って目を開けるシーンが怖くて泣いた。
ロッキーがずっと立っていて、本当にかっこよかった！
終盤で彼女の名前を呼ぶシーンも良かった。ラブロマンスとしての側面が強くてちょっとくどいと感じる面もあるけど、自分が変われたことに、愛する人と一緒に感動できるのが…ウーッ😭良かったね！と思った。
ロッキーが一番自分のことを話していて、自分自身を共有しているのは彼女だから、ロッキーの行動の軸に彼女の存在があるんだなと思った。
自分の人生を共有できていて良かったね〜😢という感じだ。
本当に良かったな！
鑑賞体験自体は少し退屈だけど、ロッキーやその周りの人物のキャラクターが非常によくできていたな…と思う。
エンタメのために人物を作っているというよりは、ロッキーの世界を広げるための人物設定という感じがした。
昨日観たファイトクラブと比較すると、裕福な人間の破壊のための暴力⇆無産階級の起死回生を狙う戦い という面で暴力の立ち位置が対比できるのが面白い。でも根底にあるテーマ、主人公の望みは自分の変化…にあって、映画の本質かもしれん…と思ったりした。
主人公の肉体も顔も骨格も最高でした。ムキムキになりてえ。
