mh

無言歌のmhのネタバレレビュー・内容・結末

無言歌(2010年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ドキュメンタリー映画の第一人者による劇映画。
反右派闘争(毛沢東による反体制狩り 1957年)によって、砂漠にある収容所に送られ、過酷な労働改造を受けているひとたちの話。
砂漠にある収容所の臨場感とリアリティが半端ない。舞台は1960年なのでもちろん演出なんだけど、ほんとはドキュメンタリーなんじゃないのと疑いたくなる。
作業中に倒れた人への接し方とかも絶妙だった。マンガに出てくる鬼係員みたいな悪役はいなかった。
悪いもん食って食中毒起こして吐いたそばから、別の人がその吐瀉物を食ってるのとか、気持ち悪い以前に凄惨すぎて、見ているこっちの指先が冷えてくる。
過労死、餓死、凍死していく様子や、カニバリズムといった極限状態も描かれる。
上映時間のきっちり半分で奥さんがたずねてくるの作劇的にも理に適っててちょっとびっくりしてしまった。
当時の労働改造を再現していることに重きを置いていて、これといったドラマチックさはないんだけど、それが逆に効果的に働いているような気がするね。
鑑賞後のググりタイムで、百花斉放百家争鳴とか引いてる。文化大革命の前にもこれだけの知識人弾圧があったのか。
共産主義はおっかないね。
この映画を中国の監督が中国で作ってるというのも驚きのひとつ。
面白かった!
mh

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