ちろる

アカルイミライのちろるのレビュー・感想・評価

アカルイミライ(2002年製作の映画)
3.5
おしぼり工場で無機質に、無気力に働く雄二は少し年上の同僚の守と親交を深める。
頭に血が上りやすい雄二を諌めるように合図を決め、彼を優しくコントロールする。

全体的には分かったような分からないような、めちゃくちゃアンニュイな作品なのだが、オダギリジョーと浅野忠信というこの当時大人気の若者の等身大のような2人と、彼らのメタファーのようなクラゲの存在が画面を惹きつける。

アカルイミライとあるが、決して明るい未来を暗示させるものではないラスト。
一体だれにとって明るい未来が訪れるというのか。

気だるくて、汚くて、救いのない(と思う)社会に背を向けることにした守。
彼は水槽の中にきれいに育てられるクラゲのように生き続けたかったのか?
外敵に狙われず、きれいで清潔な水の中で、ただなにも考えずにプカプカと浮く。
(しかし穢らわしいものが侵入したら容赦なく刺す)
そして彼は雄二に何を託したかったのだろうか?

ラスト川いっぱいに広がるアカクラゲが海へ向かう姿が不気味な事。

何をどう頑張れば報われて、そして救われるのかも分からない曖昧模糊な彼らの不安感は今の若者にも通じるものがあるのかも知れない。
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