死んだコメディアン

戦争のはらわたの死んだコメディアンのネタバレレビュー・内容・結末

戦争のはらわた(1977年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

この映画を観たのは三十年近く前なので細部はうろ覚えですが、戦争の悲惨さ滑稽さがよく出来ていた。

もう一度見たいとずっと探していた映画、
現代の鉄十字で覚えていたので、やっと見つけた。ストーリー的には、鉄十字勲章が欲しくて欲しくてたまらない悪役に翻弄される兵隊さんの話なので、鉄十字の方がタイトルとしては正解な気がする。

主人公はドイツの兵隊。
国の起こした戦争を辟易しながら対応している
白髪の熟練兵シュタイナー伍長。
彼には戦争の功績や出世には興味を示さず、
日々、仲間たちと生き残る事を第一としている様子。

そんな彼の部隊の上官として、出世欲の塊のようなプライドが高い若い士官が赴任してくる。
彼は戦争で功績をあげて鉄十字勲章を貰うことが目的。

以下は、うろ覚えで記憶に残っているシーン。

1.シュタイナー小隊が戦闘で捕虜にしたソ連の少年兵。捕虜を取る余裕のない為、少年兵の処刑を指示する上官。それに従わず軍規違反を犯して少年を脱走させる。しかし、タイミング悪くソ連の功勢がはじまり少年は味方のソ連兵に誤射され命を落とす。

2.ソ連軍の大軍に基地を攻撃されている際、信頼する部下や司令官が次々に戦死する中、上官は塹壕の中に籠もって防衛指示を出さずに本隊に指示を仰ごうと無線で喚くだけ、戦死した司令官たちの奮闘によりソ連軍を撃退したが、後日、彼等の戦果を自分の手柄として報告しようとしてシュタイナーにも協力を仰ぐが断る。シュタイナーは長年の功績で彼の欲しがる鉄十字勲章を既に受勲していて、これがそんなに大事なのか?と上官の前でぞんざいに扱う。

3.戦闘で負傷したシュタイナーは後方の病院で治療を受ける事に、そこにドイツの高官が負傷兵の御見舞と激励に来る。車椅子に乗る負傷兵と握手しようとする高官だが、差し出した手の先には、戦闘で腕が吹き飛ばされていた、ならばもう片方と手を差し出すがもう片方の腕も失われている。
負傷兵はかろうじて残った足を差し出すがあまりの事に対応ができない高官。

その後、戦時中に細やかな立食パーティーを開いてくれるが、貴重な肉類のお皿は高官たちが持ち去ってしまいました、残ったのは野菜くずだけ…。誰のなんの為の慰問だったのか、ポーズだけの上層部に改めて失望するドイツ兵。シュタイナーは、このまま後方で療養の予定だったが激戦区に戻ることになった戦友たちを見て自分も隊に復帰する。

4.出世欲の塊の上官が虚偽の戦果報告をしようとした事を知るシュタイナー小隊は、上官の作略により最前線に取り残される。敵に包囲されながら撤退戦を行うシュタイナー。途中でソ連の女性部隊のキャンプに遭遇する。熟練兵のシュタイナー小隊は速やかに彼女らの部隊を制圧。抵抗しなければ手荒な真似はしないと言うシュタイナー。彼の部隊員が入浴中の女性に暴走しそうな所でも、厳しく諌め隊の規律を守る。ソ連軍から軍服を盗み、それを着て味方の前線基地の前まで撤退に成功する。いや、そういえば一人女性に乱暴して反撃を受けて負傷しシュタイナーがソ連兵に「ヤツは置いていく」とそっと耳打ち、そしてそいつがソ連兵にボコボコにされてる間に撤退。

味方に誤射されないように、暗号符号を叫びながら味方陣地に近づくがシュタイナーに生存されると困る上官は部下に彼等への射撃を命じここまで生き残ったシュタイナー小隊の大半が撃ち殺される。俺たちは味方だ!と食ってかかるシュタイナーが印象的。

5.最後は上官にけじめを着けると、上官と対面するシュタイナー。上官を、殺害するつもりだったが、上官に戦線離脱をなじられ、軍人の本分を思い直し、上官に武装させ連合軍を撃退する為に出撃する。プロイセン魂を見せてやる!と豪語する上官だったが、銃撃され慌てふためき、銃の再装填もままならない姿を見て大笑いするシュタイナーで映画は終わる。

■所感
ドイツ軍の話なのにナチっぽい所や、レイプなどの戦争犯罪的な所はなく、ただただシュタイナー小隊のプロフェッショナル的な所を見て感心する。WW2のドイツ兵を良く扱う映画は珍しいかも。シュタイナーがかっこ良かった。
当時はビデオ録画して何度も見てました。