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戦争のはらわたのbennoのレビュー・感想・評価

戦争のはらわた(1977年製作の映画)
4.0
ホラーみたいなタイトル…ს 当たらずとも遠からず…ホラーのような恐ろしい作品ですს

サム・ペキンパー監督は以前《わらの犬》にトライしたものの、あまりの不快感で途中リタイアს ただ最後まで観たらきっと感じ方も違っていたのかな〰︎ს


今作は冒頭から違和感…戦争やヒトラーのモンタージュが映し出される中、子供たちが歌うのどかでエモい《ちょうちょɛïɜ 》(元々「幼いハンス」というドイツ民謡)…交じり合わない映像と歌が落ち着きません…そしてクレジットのバックは一面真っ赤に…嫌な予感ს

キューブリック監督《フルメタルジャケット》の《ミッキーマウス・マーチ》を思い出しました…やっぱり不気味ს


原題は《Cross of Iron》(鉄十字)…ドイツ軍人にとっては名誉な勲章…それを巡る対極するふたりの人物にフォーカスします

主人公は歴戦の勇士であり叩き上げ、人間味があり部下思い、勲章に意味を持たないシュナイダー曹長(ジェームズ・コバーン)

もうひとりはプロイセン貴族出身で名誉、出世欲の固まり、部下に対しては有無を言わせない傲慢な冷血漢シュトランスキー大尉(マクシミリアン・シェル)

この対比があるからこそですが…いやはや、ジェームズ・コバーンがカッコいい、渋くてカッコ良すぎ…ෆ*


第二次大戦中、敗戦の色が濃くなりつつあるドイツ軍…シュタイナー率いる小隊僅か10名は敵陣に置き去りにされ、壮絶なゲリラ戦術を繰り広げます…本部への合流を目指すものの…


   〜〜〜⚠︎以下ネタバレ含みます⚠︎〜〜〜















これがまさにペキンパー!!…と思わせる壮絶で容赦のない戦闘シーンს

砲弾が炸裂し爆風と共に血飛沫が飛び散り、人間が吹き飛ぶスローモーション…CGではない迫力の映像に口がポカーン(°0°)!!


捕虜となったソ連の少年兵をシュタイナーが逃すところは大好きなシーン…


“It’s all an accident. An accident of hands. Mine, others. All without mind…”

   全て偶発事だ…人間が作った偶発事…
   我々の側、お前の側…考えなしの…


盗み取っていた銃のマガジンを少年がシュタイナーに投げ返すところもいいな〰︎と感傷に浸っているとペキンパーの一撃を食らいます…響き渡るシュタイナーの慟哭ს

また、サブキャラで部下に理解があるブラント大佐と冷静に物事を見つめる飄々としたキーゼル大尉のコンビはとってもお気に入り…ふたりの信頼関係にはじ〰︎んと心に響くものがあり、会話も印象的です


そして壮絶な見せ場の終盤…

“Demarcation!!!!”(境界線)…という雄叫びと共にこれでもかのエモいスローモーションとフラッシュバックに音楽♪

そして裏切り者に対する制裁の容赦のなさ…シュタイナーの怒りが爆裂!!

冒頭の映像では違和感でしかなかったですが…本編では慄くほどの凄惨な映像とそれとは真逆のエモいシーンをものの見事に織り交ぜ、戦争の惨さや虚しさを見せてくれます…反戦と共に反ナチを描いているのも見どころ…


ラストのシュタイナーの表情は脳裏に焼きつくほど強烈!! 戦争の狂気をこれでもかと知らしめます…


もっと激渋ジェームズ・コバーンが観たくなりました…ෆ*


いつか《わらの犬》もリトライ!! 出来るかなぁ〰︎ს
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