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鉄砲玉の美学のShoMのレビュー・感想・評価

鉄砲玉の美学(1973年製作の映画)
4.0
中島貞夫追悼ということで。
『仁義なき戦い』なんかでは真先に死んでしまうチンピラ=鉄砲玉の人生を描いた、アメリカン・ニューシネマのようなやくざ映画。

死への恐怖からひたすら逃避し続ける渡瀬恒彦の情けなさ。この映画にも“仁義”はなく、ただ金に目がくらんだだけの鉄砲玉。社会の底辺にいた男が大金を手にし僅かな間だけ快楽に溺れる。その時のフラッシュバックがなんとも哀しい。渡瀬恒彦がボコボコにするチンピラ川谷拓三は自身の鏡像。『タクシードライバー』より早い鏡に向かって練習する渡瀬恒彦。

頭脳警察に合わせてグルメをガツガツ食らう消費社会への皮肉のようなモンタージュも良い。その残飯にすらありつけないチンピラの話。
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