鉄砲玉の美学の作品情報・感想・評価

鉄砲玉の美学1973年製作の映画)

製作国:

上映時間:100分

3.9

「鉄砲玉の美学」に投稿された感想・評価

シズヲ

シズヲの感想・評価

4.7
ヤクザ映画なのに派手なドンパチや組の描写は皆無と言っていい。それどころかヤクザの登場人物すら殆ど出てこないし、せいぜい主人公が出会う端役のチンピラや店舗のオーナーくらいだ。組同士の抗争が絡んでいるのに、終始こじんまりとした世界で話が進む。それもその筈、この映画はショボい舞台で何も知らずに舞い上がった小物の物語なんだよな。こんなに惨めで悲しくなる男は早々いない。

渡瀬恒彦演じる主人公がとことん強烈。しょっぱなから「こいつはクズだな」と解る。実際どうしようもない奴だ。自力では何者にもなれない癖して何処までも見栄っ張りで、薄っぺらなプライドに縋っている。鉄砲玉になってからは有頂天になって気取り始めたのに、土壇場での度胸は無いし人並みの臆病さも誤魔化しきれていない。本当にただのチンピラでしかないんだよな。しかし渡瀬恒彦の熱演もあり、作中では奇妙なほど魅力的に映っている。変な繊細さや幼稚さを内包した人物像の生々しさがとにかく凄まじい。

前述の通り、物語をひたすら狭い視点に収めた構成も秀逸。小さな箱庭の中で調子に乗る哀れな主人公の描写とがっちり噛み合ってるんだよな。頭脳警察のけたたましいロックミュージックも無様なヤクザの姿が描かれる本作の雰囲気とマッチしてて好き。主人公の本質をとっくに理解している最初の彼女や、主人公と同じように狭い空間の中でぬくぬくと肥えるウサギの描写も実に印象的。そして何より終盤~ラストシーンの流れがもう堪らない。本当にどこまでも無価値でカッコ悪くて、それだけに圧倒的な悲哀に溢れている。
床ずれ

床ずれの感想・評価

3.0
銃をとって叫べ!
頭脳警察のサウンドとともに当て所なく豪遊し、自惚れ、突っ走る渡瀬恒彦。しかし、もうどこにも銃を突きつけるところがない、1973年…。
【祝・DVD化】【追悼・渡瀬恒彦】
「ものを食べること」と「収集車に巻き込まれるゴミ」が並行モンタージュされそのバックに頭脳警察の超絶名曲『ふざけるんじゃねぇよ』がかかるシーンから始まるこの映画は、鉄砲玉として消費される塵芥な人間と、それを生む社会の機構を告発し反権力のイメージを浮かび上がらせる。
「銃を持って叫べ!」「逃げろ!鉄砲玉!」。素晴らしいパンクムービー。天下を取った一瞬の夢が悲哀を誘う……「かっこわるいことはなんて、かっこいいことなんだろう」。行き場のない怒りや哀しみが迸る!
頭脳警察。
突っ走るしかない男のラストの涙。
恒さん 最高
深谷守

深谷守の感想・評価

4.5
大学の頃に観たきりなので30年以上ぶりの鑑賞。確か前は文芸地下の中島貞夫オールナイトで観たはず。「893愚連隊」や「現代やくざ 血桜三兄弟」などと一緒に観た記憶がある。
再見して意外な発見は、これがATG作品であったこと、音楽が頭脳警察だったこと、そして何より渡瀬恒彦や小池朝雄の顔芸がすごかったこと。最近の塩顔の役者では絶対にできないような圧倒的な表情と熱量の高い演技は、それだけでも観賞に値する。
かっこいいヤクザや任侠を描いてもピカイチの中島貞夫だが、その真骨頂は情けなくてどこが人がよくて弱いくせに強がる男を描いた時にこそ発揮されるようだ。
実に見応えのある一作。
マツダ

マツダの感想・評価

5.0
たまんない、渡瀬さんホント魅力的
会合シーンが声だけで行われる演出が新鮮
カッコ悪く生きてカッコ悪く死ぬ、ダメダメヤクザの話なのに渡瀬恒彦が演じるとカッコよく見えてしまう。鏡に向かって自分の名前を何度も唱えたり、ベットの上で死ぬのに怯えながらも眠ろうとしたり、人間味あふれる渡瀬恒彦にとにかく痺れた。それと、ウサちゃんが可愛い。
キリシマのてっぺんに何が夢見たのか? 中島貞夫「鉄砲玉に美学」

今年偶然渡瀬さんがお亡くなりになった一週間前「仁義なき戦い 代理戦争」を観ました。組織間抗争でその若い命を一瞬で散らす哀れなチンピラを瑞々しく演じておられ印象的でした。

この中島貞夫作品もいつかは観ようと温めておりやっと向こうから近づいて来てくれました。深作欣二作品とはまた違った迫力と匂いが強烈です。いきなり肉とビールの生々しい咀嚼から入ってくるしウサギたちがあんなに美味しそうに生野菜を食べるシーンがアクセントに盛り込まれてるのを観ると途絶えることのない生命の鼓動がシャカシャカという音と共に伝わってきます。

兄の渡哲也さんは傑作「仁義の墓場」の石川力夫ですから兄弟揃って狂犬を演じたことになるわけですなw

80年代の私には残念ながら「頭脳警察」というバンドに(熱)がありませんからファンの方々に失礼承知で申しますと何とまあ音痴な事かw
兎に餌をあげたことを理由に女が渡瀬恒彦にボコボコにされる映画(わたしもされたい!)。
女を四つん這いさせてワンワン言わせるシーンもあります。

鏡に向かって凄みを利かせる練習する渡瀬恒彦がかわいい。
一

一の感想・評価

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美学もへったくれもない、どうしようもないクズのこれっぽっちも格好つかない死に様。
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