ハレルヤ

青の炎のハレルヤのレビュー・感想・評価

青の炎(2003年製作の映画)
3.7
高校2年の櫛森秀一。母親と義理の妹と平穏な日々を過ごしていたら、母親の元夫で義理の父である曾根隆司が家に居座ってくる。家庭崩壊寸前に陥り、秀一は曽根の殺害を計画する青春サスペンス。

公開当時から知っていて話題になっていた作品。当時は嵐として人気抜群の地位。今では実力派俳優として大活躍する二宮和也。当時は人気絶頂だったアイドルの松浦亜弥共演。アイドル2人が主演するには重すぎるだろと思ってしまう本作の物語に興味を持って今更ながら鑑賞してみました。

一見アイドルを主演に据えただけの映画に見えるけど、中身は静かな熱量に満ちたものでした。青春映画らしいエモーショナルな雰囲気が全編包んでいて、複雑な家庭環境に悩み苦しみ殺人に手を染めてしまう少年の繊細な心情の揺れ動きを的確に捉えた内容。

やっぱり二宮和也の演技は当時から秀逸。演じている人間の気持ちが伝わってくる姿は、後の出演作「硫黄島からの手紙」にも繋がっています。

松浦亜弥は正直演技巧かったとは言えませんが、この時全盛期だっただけに華は間違いなく感じられました。

殺人に見せないように完全犯罪を目論んだ秀一。それでもやはり所詮は少年の考えること。綻びや予想外の事態が相次ぎ、警察からの疑いの目も強くなる一方。徐々に追い詰められていく。その過程も下手にスリリングにしたりせず、作風を壊さずに丁寧に描いていたのは蜷川幸雄監督の見事な手腕でしょう。

パッケージだけだと完全に松浦亜弥のアイドル映画ですが、かなり作り込まれた青春サスペンス。キャストのファンも楽しめますし、映画ファンでも感じるものがいくつもある作品だと思います。
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