イチロヲ

鴛鴦歌合戦のイチロヲのレビュー・感想・評価

鴛鴦歌合戦(1939年製作の映画)
3.5
浪人(片岡千恵蔵)を恋慕している貧困層の娘(市川春代)が、自意識過剰な富裕層の娘(深水藤子)を絡ませた、三角関係に陥ってしまう。戦前に製作されている、国内産のミュージカル(オペレッタ)作品。

古典芸能を下敷きにしている芝居と独特の抑揚で発せられる台詞劇を堪能することができる作品。ミュージカルでは、和楽器の演奏がビッグバンド調の管楽器の演奏にすり変わるという、トンデモ演出が採用されている。

美女とは無縁の男がガラクタ扱いされており、マヌケ面の役者を取り揃えているため、厳しい現実を叩きつけられる。主人公の父親(志村喬)が骨董品の収集癖をもっていることから、ガラクタ繋がりの伏線を期待させられるが、さすがにそこまでは描かれない。

「金では買えないモノがある。それは"美男美女"同士の真心である」という、青春恋愛劇の王道パターン。市川春代の一挙手一投足に「萌え」を見いだしていく鑑賞法が最良。「チェッ!」の言い方に注目すべし。
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