第二次世界大戦において激戦区の一つであるスターリングラード。そこで伝説となった狙撃手ヴァシリ・ザイツェフの話。
ヨーロッパで勢力を広げていたナチスドイツ軍が更なる領地拡大に向けて重要な地であったスターリングラード。そこで、将校のダニロフと偶然出会い、狙撃の腕を買われて歩兵から狙撃兵となったヴァシリ。
次々とナチスの高官を射殺し、それをダニロフの文才で記事に取り上げることでヴァシリは気づけば英雄になっていた。
しかし、それを当然よく思わないナチス勢力は対ヴァシリとして優れた狙撃主である少佐にヴァシリを狙撃しようと試みる。狙撃の腕ならヴァシリよりも上であり、崩れた道を飛び移るソ連兵士の頭を正確に撃ち抜く。一度ヴァシリを追い詰め、ヴァシリのライフルが手の届かないところに飛ばされてしまい、ロープで取ろうとしたそのロープを狙撃するレベルであった。
ただ、この少佐の位置はヴァシリの知り合いでもあるサーシャという少年にバラされていた。そこで異変を感じた少佐は最後の闘いの前にサーシャを殺してしまう。それを見たサーシャの姉のような存在のターニャとヴァシリは絶望する。ターニャはサーシャの母親を逃し、「サーシャはドイツ軍についたから戻らない」と嘘を伝える。船で安全な場所に逃げようとしたところ、ターニャは砲弾で意識を失う。
ダニロフは最後のヴァシリとナチス軍少佐の闘い前に、サーシャを利用して殺されてしまい、それに加えて好意を寄せていたターニャも死んだと思っている。そこで、ヘルメットを脱ぎ、自ら狙撃されることでヴァシリに少佐の位置を明らかにし、少佐はヴァシリによって射殺される。ターニャとの約束の少佐のライフルをダニロフに預けて悲しげな表情を浮かべていた。
序盤の逃げようとする歩兵を上官が殺すシーンは苦しかった。サーシャの母親は死んではいないものの、もう戻ってこないと思っていることを考えるとやるせない気持ちになる。
スターリングラードに移送中の電車で会った女性であるターニャと運命的な出会い、ダニロフの失恋、ヴァシリの英雄扱いされる重圧との戦い、多くの要素が入っていてヴァシリのかっこよさと物語の面白さのバランスがとても良かった。