n0701

TOKYO!のn0701のネタバレレビュー・内容・結末

TOKYO!(2008年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

東京ではない。

TOKYOだ。

田舎から何のプランもなく友人の家に転がり込んだカップル。田舎の感覚というか、学生の感覚というか、あまり人のことを考えない二人は、理解に苦しむ映画を作る若者。

彼らは車でやって来ては、家と仕事を探す。しかし、両方共簡単には見つからない。映画監督の男の方はすぐにバイトも決まったが、編集をする女にはその不器用さでなかなか仕事も見つからない。

ある日、車をレッカー移動され、撮影機材から何から持って行かれてしまう。しかし、罰金が払えず、しぶしぶ大量に羅列された車の中から機材だけを取り出して家路につく。

いかにも象徴的にTOKYOを描くが、外国人から見ても、田舎者から見ても、東京はきっとTOKYOなのだろう。

やがて、映画が完成し、上映されると監督の男だけがちやほやされる。上映中に煙が出てくる仕組みによって映画と現実の枠を取っ払うという何ともしょうもない手法が評価されたのだ。

それだけじゃなく、新しい都会の女との出会いもあり、居候を続けて居場所のない女には心に穴が空いたような感覚に襲われる。

そして、現に比喩ではなく身体の真ん中に穴が空き、足は棒になり、やがて腰掛け椅子に姿を変える。

偶然通りかかった男に拾われ、椅子として彼女は男に手紙を書く。

極めて比喩的な失恋と上京の話だ。おそらく田舎者にはある一定のカタルシスがあるだろう。




次の話は、下水道の化物だ。

緑色の衣装を身にまとった外人のキチガイがTOKYOを闊歩する。

人々にぶつかり、物を盗り、投げ捨てる。吸っているタバコを奪い、携帯を奪い、財布を奪い、だけど、誰も彼を追おうとしない。

みな、一様に関わりを避けている。

しかし、関心があり、テレビの取材を受けている。皮肉だ。怖いのに逃げずに近づき、追いかけて捕まえようともしない。

常に傍観者でいようとする卑怯な考え方。

いかにも日本人らしい。

下水道に住み着いた外人は旧日本軍の遺物らしき手榴弾を交差点で爆発させ、日本を混乱に陥れる。

しかし、警官が怪人を追い詰め、ついに捕まえる。

ここで、男性器が無修正で放送される。
非常に驚きだ。

怪人は人間として裁判にかけられ、自身の殺人の正当性について述べるも、死刑判決が出て執行される。

だが、死刑執行中に脱獄し、怪物は何事もなかったかのように姿を消す。

ゴジラの音楽を使いまわしながら、次回ニューヨーク編!とだけ告知し、物語を終える。

これは特撮物を皮肉めいた比喩で作った怪獣物だ。




最後の題材は引きこもりと地震。

引きこもり続けた経緯と、地震の頻度を皮肉に描き、いずれすべての住民が家に引きこもり、出会いもなく、日光にも浴びず、ブツブツ独り言を呟き、大きな地震があったときにだけ家から出ることを描いている。

内容としてはシンプルだが、俳優陣が無駄に豪華だ。香川照之、蒼井優、竹中直人、荒川良々が出ている。いずれも偏った間違いだらけのTOKYOを比喩的に描いている。
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