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危険な関係のsonozyのレビュー・感想・評価

危険な関係(1959年製作の映画)
3.6
ロジェ・ヴァディム監督 1959年製作。
18世紀後半のフランス貴族社会の頽廃を捉えたラクロによる1782年の同名小説を原作に、舞台を1960年代の上流社会としたもの。
※3/24〜恵比寿ガーデンシネマで4Kデジタル・リマスター版が公開されます。

外交官の夫バルモン(ジュラール・フィリップ)と、シャネルの衣装に身を包む妻"ジュリエット(ジャンヌ・モロー)、二人の"情事遊戯"のお話。

パリ社交界でオシドリ夫婦に見られている二人だが、実は"ヤリ○○男"と"悪女"。
浮気公認(というかそれが二人の絆?)で、互いの情事の成果を報告したり、うまくいくようサポートしちゃったりもする奇妙すぎる夫婦。

ジュリエットは、愛人だったコートが18歳のセシルと婚約すると聞くと、バルモンにセシルを落とすよう指示するし。
セシルには本命のダンスニ(ジャン=ルイ・トランティニャン)がいると知ると彼と関係作っちゃったり。

バルモンはスキー場で妻の指示通りセシルをいただきつつ、そこで出った幸福で純情な人妻マリアンヌに本気になり、巧みな心理作戦で徐々に心を動かし、ついにものにしちゃうし。(この過程もすべてジュリエットに手紙で報告・・・)

二人の美貌や巧みな誘いで、婚約中だろうが、既婚者だろうが、軽やかに情事に持ち込み、互いに報告し称え合い?さらっと終わらせて次へという酷い夫婦を演じてます。笑;

貞淑が崩されていくさまがお美しいマリアンヌ役のアネット・ヴァディムは、当時ロジェ・ヴァディム監督の奥さんだったんですね。

ジュラール・フィリップ(36歳)はこの作品が遺作となりましたが、
ジュリエットの元愛人的にチラッと登場するボリス・ヴィアン(前衛作家でトランペット奏者)もこの映画の出演後、39歳の若さで亡くなってます。

この夫婦の行いはまったく共感出来ませんが(笑)、退廃的な官能美を描いたスタイリッシュなモノクローム映像と、
セロニアス・モンク、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズによるモダン・ジャズナンバーが渋い作品です。
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