Maoryu002

スパルタカスのMaoryu002のレビュー・感想・評価

スパルタカス(1960年製作の映画)
4.3
紀元前1世紀、奴隷スパルタカス(カーク・ダグラス)は剣闘士養成所でバリニア(ジーン・シモンズ)と出会う。やがて奴隷を率いて反乱を起こしたスパルタカスだったが、ローマのクラサス(ローレンス・オリヴィエ)に敗れ捕らわれる。クラサスの政敵グラッカス(チャールズ・ロートン)によって解放されたバリニアを見送りながらスパルタカスは磔にされ死を迎える。

壮大な歴史ドラマで、セットも人の数も、そのスケールに圧倒される。
途中、自由になった奴隷たちが移動する映像や、ローマ兵との戦いの場面は画面いっぱいに人間が溢れ、どれだけ金をかけたのかと想像してしまった。
半世紀以上前にこれだけの映画を作ったことが凄い。

ストーリーも非常にわかりやすくて、堅苦しくなく娯楽性が高い。
監督はスタンリー・キューブリックだが、まだまだ初期の頃だったからかキューブリックらしさは感じられない。製作者カーク・ダグラスによるカーク・ダグラスのための映画といった感じだ。

特に血筋がいいわけでも、学があるわけでもないが、自由を求め同じ奴隷たちとの共闘に命を懸ける男の話は魅力的で、奴隷たちが次々と「俺がスパルタカスだ!」と立ち上がるシーンは歴史に残る名場面だ。
そこでスパルタカスの頬を伝う一筋の涙!カーク・ダグラスもあのシーンが撮りたくてこの映画を作ったのではないだろうか。

共演のローレンス・オリヴィエもチャールズ・ロートンも貫禄十分で、特にチャールズ・ロートンのねちっこい演技は最高だった。
かつて「戦艦バウンティ号の叛乱」で見せたいやらしさが生き生きしてた。その風貌はどちらかというと暴君ネロって感じだけど。笑

ヒロインのジーン・シモンズも古代ものにぴったり。「大いなる西部」に続いて、知的で力強い女性の象徴のようだ。
Maoryu002

Maoryu002