やや

裏窓のややのネタバレレビュー・内容・結末

裏窓(1954年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ドールハウスのような可愛らしい画面が魅力的。
いつ恐ろしい雰囲気になるのかと思ったら、殺人シーンもなく、不穏なBGMどころかアパートの住人が奏でる優しげな音楽と会話のみで淡々と進行していく。

リザの登場シーンは息を飲む美しさ!
美女、なんて褒め言葉ですら下卑た表現に聞こえるほどに、もはや生きた芸術。世界の宝。正直、彼女の存在だけで点数が1.2点上乗せされてもいい。
だからこそどうしてこの若干くたびれたオジサンのジェフをそこまで…?と思わなくもない…かな…笑
「会わないわ。…少なくとも明晩までは」が可愛すぎる。

主人公が動けないからこそ生まれるストーリー、歯がゆさ、緊張感。設定が活きてる!
ジェフが動けていたらラストの緊迫感も減ってしまうし、リザが代わりに行動することもなかったのかも。
「何もできないお嬢様だから将来はない」と決めつけていたリザの行動力を見て、きっと前向きに結婚を検討し始めたのだろうと伺えるラストが良い。
骨折が両足になっているのもクスッと笑えた。

窓から覗き見をしているジェフ達には決定的瞬間は見えないけれど、彼らは警部から真実を聞かされたはず。
でも我々には「本当に殺人事件は起きたのか」すら結局わからないのが、スクリーンという窓から『覗き見』していることへの皮肉のようで面白い。
やや

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