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裏窓のFrengersのネタバレレビュー・内容・結末

裏窓(1954年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

 ブラインドの上がり下がりが、映画の幕の上がり下がりに対応していることから、裏窓=スクリーンだということ。これが本作の骨子だと思われる。以降、鑑賞者は、ジェームズ・スチュアート演じるカメラマンのL・B・ジェフリーズの視点と同化していき、近隣住人を裏窓から鑑賞することになる。その固定された視点の映像の反復の差異からそれぞれの家の住人の物語が見えるということ、これはまさに映画そのものと言える。
 物語が進むに連れ、ジェフリーズの側の人間以外から初めて睨まれる場面から、見る/見られるの関係性に亀裂が入り物語の核心に迫る構成も見事。部屋で男と対峙する際にも光と影の妙と、シャッターを使った目くらましによって、お互いに顔を視認することがないまま、結末を迎えるのも良かった。あの男の手は映画を見ている私たちに向かって伸びてきているのかもしれないのだから。
 グレース・ケリーやセルマ・リッターも素晴らしく、良い「映画」を見たなぁという気分にさせてくれる。

追記;冒頭のジェフリーズの部屋を撮り続け、彼の職業がカメラマンとわかる一連のカットも、彼が「写す」側、被写体を見る側であり、映画の鑑賞者であることを印象付けているのかも知れない。
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