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モーリスのiceblueのレビュー・感想・評価

モーリス(1987年製作の映画)
4.2
夜更けにこっそり窓から忍びこむ。情熱的で大胆に。去る時もそっと窓から…眩しい笑顔で帰っていく彼。誰にも言えない秘密の恋のこんな描写にはらはらする。
  
知的で優秀なクライヴに誘われたモーリスは禁断の世界に徐々にはまってゆく。まっすぐで太陽のような彼が、自分は病気なんだと苦悩する。プラトニックな彼らの関係に変化が訪れる頃登場する使用人のアレック。
100年以上前の英国では犯罪だった同性愛。まして上流階級では一族の汚点となってしまう。
自分を偽って生きるのか。愛を選び日陰の人生を歩むのか。茨の道はどちらだろう。最後の窓辺のシーンのヒュー・グラントの表情が忘れられない。
 
『君の名前で僕を呼んで』の脚本のJ・アイヴォリーが監督し一世を風靡した作品を初めて劇場で鑑賞。
こちらの方がより心の変遷と深い葛藤が描かれているように感じました。当時はまだ興味本位だった同性愛への目線も様変わりして、個々のあり方・生き方への目線で見られるようになったのでは。
そしてクラシカルな英国の建物や風景が物語に陰影を与えていて、これぞ映画という美しさでした。
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