菩薩

いつものようにの菩薩のレビュー・感想・評価

いつものように(1997年製作の映画)
4.2
『フランシス・ハ』同様、27歳に引かれた大人と子供の境界線。だが黄金期の少年ジャンプは老若男女誰が読んだって面白かったし、わざわざ買いに行かなくって当たり前に網棚の上に放置されていたものだ。制作年は97年となっているが、部屋にうず高く積まれているジャンプはおそらく94年あたりで、「最近始まった面白いギャグ漫画」として言及されるつの丸『モンモンモン』の連載開始は92年、不思議なタイムスリップ感がある。「人生は死ぬまでの暇つぶし」とはMJことみうらじゅんの名言であり、大滝詠一も同じ様な事を言っていたが、少しだけ欠けている一日を綺麗な丸にする為に、「なんとなく」を使い「とりあえず」その一夜は引き延ばされていく。真面目に取り組む不真面目な仕事、二人乗りのチャリ・三人乗りのバイク、蝋燭がわりに火をつけられる花火、不意打ちのちゅーにムカつきながらも流してくれる男子より少しだけ大人な女子、解き放たれた屋上空間でのくだらない遊戯。写ルンですの最後の一枚を撮り終えてしまう寂しさと「写真送るから」で交わされる連絡先が繋ぐ安心感、人を待たせるのも待つのもあまり得意では無いのだが、待ちぼうけから始まるドラマもどうやらあるらしい。「なんか良い」が最高の褒め言葉になるであろう一作。
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