Kumonohate

戦艦大和のKumonohateのレビュー・感想・評価

戦艦大和(1953年製作の映画)
3.9
昭和28年公開の最初の戦艦大和映画。

などという情報を知ってしまうと、(1)キャストを含めた制作者がみな戦争体験者である、(2)時間経過による風化や脚色が少ない、(3)原作者や考証担当者が実際に大和に乗船していた、等の理由により、後年の大和作品に比べて真実に近いような気がする。

だから、乗組員たちが“大和は既に時代遅れで船どうしの戦には無敵でも航空兵力に対しては無力”という真実を承知しており、その上で特攻に臨んでいた、という描写も正しいんだろうと思う。

そして映画では、そんな覚悟を抱いて死地に赴いた男達の思いかが、決して大袈裟にならず淡々と描かれる。それ故に、クライマックスの激戦が派手になるにつれ、空しさが倍加する。ヒロイズムが倍加する近年の戦争映画とは、その点が大きく異なる。

特撮こそ今の目で見るとチープさが目立つが、それを除けば堂々たる名作である。

因みに、藤田進を見て「ヤマオカ長官だ!」とは今や思わないが、中山昭二を見ると「キリヤマ隊長だ!」と興奮してしまう自分には困った。
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