Kumonohate

007/ノー・タイム・トゥ・ダイのKumonohateのレビュー・感想・評価

4.0
ダニエル・クレイグのボンドは大好きだし、本作も面白い。何より、連綿と続いてきただけに一時代前のコンテンツっぽい空気を醸し出していた「007シリーズ」を、「ミッション・インポッシブル」や「ジェイソン・ボーン」ばりに現代にアップデートされたスパイものに再生させた功績は計り知れないと思う。

ただ、それでも、(必ずしも公開順ではないものの)第1作「殺しの番号」以下全作を見ている者(つまり私)にしてみれば、ボンドの女性関係には“生涯をかけた恋”は感じない。どうしても「この瞬間は君だけを愛しているんだ」的な刹那的な火遊びに思えてしまう。

クレイグ・ボンドでは必ずしもそんなことは無かったし、前作および本作のマドレーヌ(レア・セドゥ)との関係もそんな浮ついたモノじゃ無いことはわかっている。けれど、長年染みついた思い込みとは怖ろしいもので、どんなに“生涯を掛けた恋”を演じられても、“遊び”にしか見えなくなってしまうのだ。

これは、ダニエル・クレイグのせいでも、脚本家のせいでも、監督のせいでもない。ショーン・コネリーからピアース・ブロスナンまでの5代20作を全部見てしまっている私の脳味噌のせい。だから、このレビューは私だけの特異なもの。ちゃんと面白い作品ですよ。
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