Kuuta

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国のKuutaのレビュー・感想・評価

3.5
・公開時以来の鑑賞。冷戦と赤狩りのアメリカの空気に、この頃のCGの冷たい人工感がマッチしていると思った。セットがデカくて、引きの絵も多い。

スカルの行ったり来たりと連動したカーチェイスや、シャイアラブーフとケイトブランシェットのフェンシング対決は普通によく出来ているし、レンズフレアやグイグイ動くカメラなど、90年代以降のスピルバーグ(=カミンスキー)要素も程よくミックスされている。見直すとちゃんと面白かった。ダイナーで階級が色分けされて乱闘が始まる場面はウエストサイドストーリーのよう。

・地上絵を見下ろせる宇宙人を目指し、ハリソンフォードが上に立ち、シャイアラブーフが見上げる構図が繰り返される。天に昇るクライマックスを終え、親子関係が確立した先、インディは自分の父を思って空を見上げる。

・流石にハリソンフォードがアクションで引っ張る映画ではなくなっている。話の展開もインディは基本的に受け身で巻き込まれっぱなし。彼自身が決断を下す訳ではない。

前述したように、米国のシーンではCGが違和感を含めてハマっていたと思うが、ジャングルに出ると綺麗過ぎて気になる(いくらなんでも猿のシーンは…)。とっ散らかった脚本の影響でキャラの掘り下げも足りない。インディ視点が立っていないのでライド感が弱く「アトラクションにキャラが乗っている映像」を、一歩引いた目線で眺める感覚になってしまう。量やエグさの増した軍隊アリよりも、魔宮の伝説の虫の方が背中をモゾモゾさせられるところに、今作の苦しさは現れている。
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