午後

水の中の八月の午後のレビュー・感想・評価

水の中の八月(1995年製作の映画)
4.6
スピリチュアルな青い世界。飛び込みの少女。水の中の八月は、世界の終わりみたいに静かだった。
終末感に色濃く覆われているが、同時になにか、終わらない夏めいたものも感じさせる。透明感のある映像が心地良い。世紀末、僕はまだ小さかったからノストラダムスの大予言も気づいたら過去の出来事だったけれど、その頃の中高生になってみたかったな。いいなあこの、地に足つかない感じ。というかそもそも地面なんて関係のない感じ。きれいだな。オカルト好きの友達がいいキャラしてる。
形而上の関心事と、現実の出来事が、矛盾しなかった年頃。世界の終わりすらも、個人的な問題で。すごくよかった。夏になったらまた観たいな。
ヒロインの女の子の、たまに透けて見えるほどの瑞々しさが眩しい。
私が私じゃなくなる感じ、すべての境目が曖昧になっていくような感覚、妄想は、誰でも十代の頃に覚えがあるんじゃないかな。
このヒロインの自失の感覚は、田口ランディの『コンセント』やら、櫻井まゆの『トランストランスフォーエバー』で扱われてる自発性トランスの状態に近いのかもなって、ヒロインの台詞を聞いてて思った。
水や、石や、光のスペクトル、月や陽炎をとらえた映像が、反復されて、イメージが増大していく。それらを貫く意味を帯びてくる。その映像表現も良かったな。
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