午後

花束みたいな恋をしたの午後のレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
5.0
噂に違わぬホラー映画の傑作。社会生活は愛を破壊する。

どこにでもあるありふれた花の名前を、絹ちゃんが麦くんに教えなかったのは、これから先ずっと、いつか別れてしまった後でも、マーガレットを目にするたびに、自分を思い出すようになってしまっては可哀相だという思いやりからだろう。ところが実際には、SMAPのたいせつ、きのこ帝国、今村夏子の芥川賞受賞、多摩川の氾濫、木村屋の焼きそばパン、どれを見ても、ふたりの幸福だった日々を思い出す。これらの固有名詞は結果として花の名前と同じ機能を持ってしまっている。教えてもらった花の名前のように忘れられない思い出の束、それが花束の意味である…
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