不乱苦

パーフェクトブルーの不乱苦のレビュー・感想・評価

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)
5.0
リバイバル上映で初見。
前半はストーカーもののスリラーとしてやや地味に進行するが、徐々に現実と虚構が交錯し始め、狂気の世界に陥る恐怖に襲われる。全てが破綻しそうな危うさが緊張感を生み出すが、ラストに向けて見事に収斂していくカタルシス。今敏の作品を最初に観たのは「千年女優」で、現実と空想が入り乱れる、実写的な描写でありながらアニメならではの表現に感動したのが最初だったが、まさにその原点と言えそう。幻想的でファンタジックな「千年女優」と違いサイコスリラーであるため、オリジナリティは及ばないが、その完成度と面白さはこちらの方が上かもしれない。
これが80分強の尺しかないのだ。昨今、長尺の映画に対して「あっという間だった」という褒め言葉があるが、3時間の映画が一瞬に感じるよりも、2時間足らずの映画で大作を見たような充足感が得られる方がすごくないですか。そういえば千年女優も東京ゴッドファーザーズも90分以内じゃないか。90分以内の映画、最高。
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