このレビューはネタバレを含みます
今敏監督の「パプリカ」や「千年女優」は観てたけど、これは観てなかった。あらすじやポスタービジュアルが「好みではなさそう」と敬遠してたからやねん。
でも、勧められて観てみたら…すごいサイコサスペンスでメッチャ面白かったわ!監督の作品では一番好きかも。これが映画デビューって…やっぱりすごい才能溢れる監督やったんやなぁ…。
以下はネタバレ…
「アイドルがストーカーにあう」というストーリーなのかと思って見てたら、アイドル業界の闇も描かれていて、とてもリアルで引き込まれた〜。
90年代後半の「インターネット黎明期」が懐かしかったわ〜。丸文字の「〜の部屋」ってホームページ、よくあったよな。今も問題になってる「なりすまし」の恐ろしさをもう描いてるんやね。先駆的やなぁ。
あの「ドラマ」の設定もよくできてるで。アイドルである自身のアイデンティティが揺らいできて、途中から夢と現実が交錯していく…。このあたりのシームレスな展開がこの監督はとても上手いよな。「実はドラマの方が現実で、あの女刑事は精神科医で、未麻は自分のことを女優と思い込んでる殺人鬼なの?」と思ったくらい、多層的な構造になってるやん。
だから、マネージャーだったルミが「幻影のミマ」になって襲い掛かってくるところで「おー」と声を出して納得した。全ての辻褄が合う。ストーカー男の犯行と、ルミの犯行があるんやね。みんな「アイドル未麻の幻影」に操られていたんやな。
ラストの未麻のセリフ「本物だよ」はどういう意味なのか?あえて「観客」に向かって言うてる。あんな恐ろしい目に遭って病んでいた未麻は、あんな事言わないと思うねん。あれは本来の「アイドルの未麻」で、この作品全てが「メタ的なストーリー」なのかも?実は「アイドルの未麻の自分語り」の妄想だった?そう考えると、いろいろと解釈も広がっていくなぁ。題名の意味もよくわからんし、とても奥深いのかも?