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パーフェクトブルーの723のレビュー・感想・評価

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)
4.0
すごく怖かったけど、さまざまな示唆を与える面白い作品だった。
1997年の作品で登場する機器も今とは全然違うが全然古くない。

主人公の未麻は元アイドルで新人女優へと転身するが、有名人しか持たないような「怖い」という感情を覗き見た気がした。
常に誰かに見られているような気がしたり、ファンからの過激な言葉、
事務所の方針や世間のイメージと自分がなりたい・やりたいイメージとのズレなどだ。

また、ネット上の自分になりすましたような書き込みや、未麻がドラマで演じている役、現実で起きた事件と実際の自分がごちゃ混ぜになってループしているような感覚になり、アイデンティティが希薄になっていくシーンはとても恐ろしかった。

英単語の「アイドル」は偶像などと日本語訳されるが、本当はアイドルを続けたかったという未麻が生み出した幻想、未麻は清純派アイドルであり続けてほしい/あり続けるべきだという過激なファンが生んだ幻想・偶像がまるで実体化したように動き出して暴走するシーンはさまざまな解釈ができると思った。
そして、アイドル引退後も正統派アイドルであり続ける未麻の幻像の実態が、アイドル人生に未練のあるマネージャーだというのはステージで輝く職種の中毒性などが現れていてまさに恐怖だ。
この作品の大半が未麻一人称で描かれていたと記憶しているが、それも大きな要素だと思う。

るみちゃんやme-maniaの両目が異常に離れて描かれているのも、恐怖を与える演出なんじゃないかとも思った。

ラスト、変に明るい終わり方やエンドロールの明るい楽曲が返って怖かった。
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