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PERFECT DAYSの723のネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

とてもとてもよかった
平山さん、わたしに似てると思うことが多かった。(なぜか私の父も頭に浮かんだ)
役所さんの演技が、普通は無口で台詞が少ないと不気味というか怖いというか、マイナスな印象になるように思うが、ふとしたときの表情や誰かを見つめる視線の温かさのようなものが伝わってきて、映画館でひとりでにっこり微笑みながら観ていた。

特に好きだったシーンは、
•母親とはぐれた子を平山さんが見つけて、手を繋いでトイレから出てくるのを見て、母親が子どもの手をまるで汚いかのように消毒ティッシュで拭く。母親に手を引かれて去っていくものの、こどもが無邪気に振り返って手を振り、平山さんが微笑み返すシーン
•トイレの壁の隙間に挟んでやりとりする⚪︎×ゲーム
•古本屋の店主や、写真屋、居酒屋の店員とのやりとり
•にこちゃんと銭湯に行ったときに、それを見た常連さんたちの反応

わたしと反対の価値観の人が観たら、寂しい、物足りないと感じるかもしれないルーティーンの暮らしだけど、わたしはとても豊かで温かくて丁寧な暮らしだと思った。作品中で「違う世界」と平山が表現していた母親の暮らしからやってきたにこちゃんが、平山の暮らしに先入観を持たずにすっと入ってきて、素直でまっすぐな感性や言葉で受け止めているのがとても美しかった。
最後の"木漏れ日"の言葉が出てきて、平凡で同じように見えても、全く同じ日はないのだというメッセージのようなのもよかった。
夢を見ているときの映像も美しかった。
映画を観ながら、わたしがスキマ時間バイトで経験したことや18きっぷひとり旅で経験したことをドローイングと言葉で残そう、となぜか思った。
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