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パーフェクトブルーのKHのレビュー・感想・評価

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)
4.1
2025年度の年間ノルマ80本中、24作品目
『パーフェクト・ブルー』見させて頂きました。

過去に見たことはあるんですよ。ただねー、覚えてないんですよ。随分前というか、本当中学、高校?くらいじゃなかったかなー。。

この度、Netflixにて配信されたのでサクッと視聴しました。

先に言っておきますが、今敏作品の中だと僕これ一番好きかもです。
なんかめっちゃ引き込まれました。
見たはずなのに、、

まずはネタバレなしの率直な感想をば述べます。

『なんとなくアイドルみたいな子達が、、、
そこまでしか思い出せなかったのですが、大人になってから見ると本当に面白かったですねー。。作画もそうですが、アニメーションに素直に引き込まれましたね。
また、色々なセリフをちゃんと読み解くと
実はこうだったのでは?とか、様々なことの辻褄がちゃんと成立していた様に思います。個人的にパプリカも千年女優も見たんですけど、うーん、どこかちょっと難しいなーって苦手意識みたいなのはあって、東京ゴッドファーザーズに関しては、これまた随分前に見たのでまた今度履修しようかなと思います。
とにかく、非常に楽しく作品を見ることができました。是非お勧めです。』


※また、ここより先はネタバレを含む感想になりますので、まだ見てない方はご注意を、


僕が率直に作品を見て思ったのは、この未麻という子は女優としての才能はかなりあったんだろうなと感じました。

彼女は役に入り込む事により、私生活にまで影響を及ぼしてしまうほどの没入型というか、憑依型?だと感じました。

ラスト付近のドラマのセリフに、
自分は未麻で、女優だというセリフが、
自分は〇〇で、モデルだというセリフに変わります。

彼女はプライベートのセリフをしっかりと演技のセリフに変換して演じたというのが分かるシーンです。

実際に、怖い事件にも関わってはいるし、
レイプシーンや、ヌード撮影に対して後ろめたさはあったとは思います。
しかし、女優として大成したいという気持ちに嘘はなく、アイドルにも未練は本当にもうないんだろうなと感じました。

しかし、彼女はネットの『未麻の部屋』を見るにつれて、本当の自分はこうなのでは?女優なんかやりたくない、アイドルに戻りたいと考える様になってしまい、それが現実世界の妄想に現れる様になったんじゃないかと思います。

また、実際に犯罪を犯していたのが、警備員内田だったのか、マネージャーのルミだったのか?という問題ですが、正直いうとわからないです。描写がないので、
ただ、結果として僕はルミちゃんの犯行なのでは?と感じております。

理由としては、未麻が夢なのか現実なのかわからない生活を送る中で、未麻の部屋を見ると自分が原宿で買い物をしていたことを知ります。

その後、クローゼットの中にその原宿で購入した商品の紙袋に入った血の付いた服を発見します。僕はこの部屋はすでに本当の未麻の部屋ではなく未麻の部屋を模したルミの部屋だったのでは?と感じております。

んー、そうでなければ、未麻の部屋の紙袋の中にルミが血の付いた服を入れて隠したという可能性ももちろんありえます。
どちらにせよ、その時点で警備員内田の犯行の線は薄いかなーと思いましたね。

また、死に方というか、殺し方が共通で、
脚本家もカメラマンも、また事務所の社長も警備員内田も、全員目を潰されております。

目を潰すというのは犯人が単独犯で、あえて殺し方にこだわりを持っている節があります。
つまりアイドルとしての未麻を嫌らしい目で見た人間の目を潰している訳ですから、

ラストに内田が崇拝しているはずの未麻を犯そうとしたので、それは崇拝を通り越して私情になってしまっているので、同じ様にルミに目を潰されたのかなと、
まぁ未麻にハンマーで殴られた時には死んでるかもですが、

また、警備員内田とルミでは同じアイドルオタクでもレベルが違います。
内田は『偶像崇拝』に近いものがありますが、
ルミはもっと『宗教』に近いものがある様な気がします。アイドルという存在、未麻という存在に固執するあまり、最終的には自分自身が未麻だと錯覚してしまうのは偶像崇拝とはちょっとベクトルが違う気がしますね。

どちらかと言うと『幸福の科学』チックというか、僕はエルカンターレですみたいな。

まぁでも正直ちょっとだけオチには気がついてしまいましたね。やっぱりセリフの中に
『未麻はアイドルなんですよ‼︎』という強いセリフの後に『未麻が自分で選択したのであれば』という中で、

未麻は女優の道を歩むと決断しており、アイドルに戻りたいとも、女優を辞めたいとも一度も言ってないんですよね。
だから未麻の脱アイドル宣言や、女優デビューは全部彼女のプラン通りというか、
確かに、ヌードやレイプシーンなんかはそりゃやりたくはないんですよ。

でも通り道の中では決して避けられない部分と割り切っていた筈なんです。
しかし、ルミや未麻の部屋で徐々にそれが
『もしかしておかしいのかな?私』となってしまうのは、憑依型の未麻としては実に自然というか、
仕方のない部分だったのかもしれません。
しかし、結局はクランクアップまで演じ切り、
美味しい役まで獲得しているのも事実であり、怨恨殺人が発生していることで、
実はこの女優は物凄い人気がある子だったのでは?という話題性を生んだのかもしれません。

実際に郵便物爆破事件みたいなのってあったみたいですよ?安達祐実さんとかが、

それにしても内田のキャラデザは本当に光ってましたよねーー。。
内田はヌード撮影をしたカメラマンを殺そうとは考えずに、雑誌を買い占めようとしてたんですよね。その辺がちょっと良いやつなんかなって思ったりもしましたね。

まぁもしかしたら冒頭のライブを荒らしたヤンキーを轢いたのは内田かもしれません。
ただ殆どの目が潰れた殺人は全部ルミかなと、殺し方に違いがありましたね。

良いストーリでした本当に、この尺で本当にちょうど良いでしたね。

今回はこの辺にします。
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