ゴン吉

226のゴン吉のレビュー・感想・評価

226(1989年製作の映画)
4.0
二・二六事件を起こした青年陸軍将校たちを描いた史実を基にした群像劇。 
 
監督は五社英雄。
萩原健一、三浦友和、本木雅弘、勝野洋、佐野史郎、うじきつよし、隆大介、竹中直人、梅宮辰夫、佐野史郎、丹波哲郎、鶴見辰吾、仲代達矢、長門裕之、根津甚八、松方弘樹、名取裕子、南果歩、賀来千香子、有森也実、安田成美、高部知子、高峰三枝子、八千草薫ら超豪華キャストが共演。 

市民の困窮や貧富の差などの政治に不満をもった尊皇派の青年陸軍将校たちは、昭和11年(1936年)2月26日に軍事クーデターを起こした。 彼らは自分の指揮する部隊を動かし、海軍派の岡田首相、高橋蔵相、斎藤内大臣、鈴木侍従長などの自宅を襲撃して家族の目の前で殺害する。クーデターは成功したかに見えたが、政府の勅命により事態は一変する…  

超豪華キャストに加えて、首相官邸や山王ホテルなどの大掛かりな舞台セット、三台の自作戦車、沢山の兵士が登場するゴージャスな作品。
戦車は全く知らない型だったので気になり調べてみたら架空の戦車らしい。どうせ作るのであれば当時の戦車をモデルにしてほしかった。
さて本題。若きエリートたちが自分たちの考えや意思のもとに世の中を改革しようと行動することには理解できるが、だからといって相手や警護兵を殺害するのはいただけない。
時の政権を担っていたのが海軍派であったことから、陸軍の青年将校が武力をもって決起したが、政権が陸軍派であれば決起しなかったようにも思える。
自分たちの不平不満を単に対立組織にぶつけただけのように感じる。
クーデターを起こした青年将校たちは逆賊という以前に単なる自分本位で稚拙な殺人犯でしかない。
自分たちは、相手を家族の目の前で殺害しておきながら、最後は自分の愛する人を想い浮かべながら自らの命を絶っていくさまが醜く腹立たしい。
短絡的な青年将校たちの行動には同情の余地は全く感じられない。
終盤で部下の兵士たちが誰一人として反乱将校に敬礼しないのが滑稽である。
決起の御旗にされた天皇も迷惑だったに違いない。
「天皇陛下 万歳!」  

2024.2 BS松竹東急で鑑賞(よる8銀座シネマ)
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