ユースケ

パラダイムのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

パラダイム(1987年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ロサンゼルスのとある教会の地下にあった緑の汁が詰まった棺には暗黒の王子=サタンが封印されていたので、サタンの復活を科学の力で阻止しようとオカルトをサイエンスしてみたら、唯一神は邪神で、キリストは宇宙人で、聖書はインチキで、キリスト教の根幹はクトゥルフ神話だった事がわかり、キリスト教のパラダイム=既成概念をぶち壊される一本。

原題の【Prince of Darkness(暗黒の王子)】を無駄に捻った邦題の【パラダイム】のせいでテーマわかりづらくなってしまっていますが、やっている事は、悪魔に操られた虫と浮浪者(リーダーはアリス・クーパー)に囲まれた教会で、緑の汁でゾンビ化した仲間と戦いながらサタンの復活を阻止するというジョン・カーペンターお得意の籠城ものなので安心してご鑑賞下さい。

みどころは、【ハロウィン】シリーズで不死身の殺人鬼ブギーマンことマイケル・マイヤーズを追い回す精神科医サム・ルーミス医師を演じたドナルド・プレザンス演じる司祭のクズっぷり。
【ゾンゲリア】でミイラ男の眼球にやたらと長い注射針をぶち込んだ看護婦を演じたリサ・ブロント演じるヒロインの自己犠牲によってサタンの復活した阻止されたのに「私が阻止した」と自分の手柄のように熱く語るシーンはたまりません。

更に、常時ザ・ロック(ドウェイン・ジョンソン)のキメ顔をかます【ゴールデン・チャイルド】【ゴーストハンターズ】【トレマーズ】のヴィクター・ウォンやテンパリ顔で【アメイジング・グレイス】を歌いながら自分の首を搔き切る【ダークマン】のオープニングで葉巻カッターで指チョンパされたジェシー・ローレンス・ファーガソンなど、わかる人にはわかるキャスティングも要チェック。

ちなみに、けだるい午後ロー感を醸し出すジョン・カーペンターの音楽も、いつオープニングが終わったのかわからないユルユルな展開も、シュレディンガーの猫、素粒子、タキオンなど、量子力学を匂わせる専門用語の羅列も、全て眠気を誘うための布石。なぜなら、睡眠中に未来から送られてくる1999年のサタンの復活を警告する映像の元ネタは、眠りの世界から宇宙の秘密に触れようとした主人公が眠りの神ヒュプノスによって狂気に走るハワード・フィリップ・ラヴクラフトの【眠りの神】だからです。