あさ

ギルバート・グレイプのあさのレビュー・感想・評価

ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)
3.5
間違いって何だろう。でも頭の片隅に「間違いだらけの物語」だなあと浮かべながら見ていた。狭いコミニュティで、何よりも大切にしないといけない家族が居て。心のどこかで気づいているのに、新しいスーパーに踏み出せないでいる。自覚してしまうことは怖い。

ギルバートの中で何かが決定的にプツリと切れたあの場面でも、上の騒動を聞いたお母さんは「どうしたの」と言っていたけど、"What did you do."と言っていた。ハッキリと、「アンタ何をしたの」に聞こえた。18になり、身体も大きく力をつけたアーニーの面倒を観れるのは力的にもギルバートしか居ない。気付いているはずなのに、家族が彼を責める所を見ると、それは家族愛からだと分かっていても心が痛い。

葬儀屋の友達然り、配達先の奥さん然り、観ていてハァ〜ン?と思っていたエピソードがジワジワ効いてくる。美しく描かれている分、引っ掛かりのあるところも無視はできなくて(「息子があなたのように育って欲しい」もそうだけど、残酷!て思っちゃった)、ギルバートが優しいことを差し置いても世界は甘いなあと思うし、人は唐突に死ぬし。心が厳しくて荒んでいて、そんなことも考えた。

キラキライメージのディカプリオ様の演技も何だか新鮮で。皮肉を言えば「外面的な美しさよりも中身」という台詞が出てくる割に、この物語はめちゃくちゃ外面の美しさで構成されてるハリウッド映画だなとは思うんだけどね…。昔の作品だから感じるモヤモヤもあったと思うし、でもそれは昔特有のモヤモヤでもなかったと思うな。
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