冒頭、果てしなく続く道、遠くから近づくトレーラー。その光景はギルバート(ジョニー・デップ)が切望する「自由そのもの」。この場面、すごくアメリカの広大さを感じさせて好きだ。
小さな商店で家族を養うために働くギルバート。近日出店予定の大手ファストフード店への就職に意欲を燃やす友人がいる。でもギルバートはここから出ていきたい気持ちを捨て去る事ができずにいる。同時に、出ていきたいと感じる自分に対する後ろめたさを漂わせる。
ディカプリオの素晴らしさは、何回見ても刺さる。お風呂に放ったらかしにされ寒さで凍えて以来、身体を洗われる事を拒み続ける。顔がどんどん汚れていく。痛ましくも滑稽なその姿さえも、愛おしく描かれる。
今回、何度目かの鑑賞で感じたのは、母親への「しっかりしてよ!」と言いたくなる気持ち。自殺で夫を亡くし、さぞかし辛かったのだろう。けど辛いのは家族皆一緒。せめて明るく生きないとね。